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【殿堂入り035】N Family(Kuroki Reiri)

投稿日:2018/8/17

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まごころ

- N Family -


写真で何を、伝えたいのか。
写真で、何を、伝えることができるのか?

撮影者としては、常にそれを考えながら、撮影空間を構成しているのではないでしょうか。私が今撮っている「写真」は、それを見る人がいます。その人たちに「何か」を伝えたいから、感じて欲しいから撮っていますし、伝えたい「想い」は様々で、伝わり方も、受け取り方も様々だと思います。
「わたし」という人間が、こういう想いを持って、「あなた」の写真を撮りました。そういうことを、言葉にして書き起こしているのがこの【Butterfly】です。目には見えない「想い」を写真に託し、言葉で綴り伝えることは、自分が写真を通して人と繋がっていくこと、です。人と出会い感情が動き、その心で写真を撮ること。その心を言葉にすること。それは「わたし」という人間の中身をお見せしていくことでもあり、そうして自らを開くことで、人見知りで不器用な私でも、関係を作っていくことができるのかも知れません。



この写真の男の子の撮影は、この時3回目でした。
新横浜店で初めて出会った時は、生後6ヶ月。そこから、早くも2歳を迎えた彼は、「赤ちゃん」から「男の子」のやんちゃさを兼ね備えて、その成長を見せてくれました。

今回、新横浜店から横浜青葉店に異動になった私に会いに、わざわざ青葉店のご予約を取ってくださったママさん。とても愛情深い方で、私のことを「れいりちゃん」と気軽に呼んでくださいます。ママさんは、いつも彼の為に小物を用意してきてくれるのですが、どれもこれも、今の時期の「彼」の記憶の記録として関連づけられるアイテムです。彼の好きなもの、お気に入りのおもちゃ、大好きなぬいぐるみ……年齢がわかるような数字の小物。手作りのものも多く、あとで写真を見返してはそれぞれの時の「彼」のことを思い出せる、そこに注いだ心を思い出せるようなものばかりです。それはきっと、「いま」この時の彼の姿が、すぐに過ぎ去ってしまうものだとご存知だからなのでしょう。ひとりの「ひと」が生まれ、育ち、時間を重ねて経験を積んで成長していく、今はその過程にあります。毎年の誕生日に写真を撮るということは、「記憶」を「記録」することです。時間は幾重にも積み重なり、思い出は遠くなるかも知れません。それでも、「写真」がそれを記録し、「記憶」のインデックスとなるのなら、遠い思い出もすぐに思い起こされるでしょう。過ぎ去ってしまう「いま」の瞬間を写真で表現する、その価値は計り知れません。だからこそ、撮影の為に色々準備して来てくださるママさんと、その愛情を一身に受けてすくすくと育っていく彼のやんちゃな笑顔が、私の心を揺さぶります。


『愛』というものを明確にこうだと規定はできませんが、少なくとも、彼に注がれるパパさんママさんの眼差しと、彼の天真爛漫な笑顔に、それは宿っているのではないでしょうか。生まれてきてくれたこと。成長し、経験し、変化し、時にイタズラもするし困らせもする、そんな存在がそこにいて、その存在を真っ直ぐに愛し、愛され、満ち足りる幸せ。彼がこんなにも体現している。その姿を見ていると、こちらまで幸せな気持ちになってしまうのは、そういう尊いものを目の前で感じさせてくれるから。私が撮影で感じる感情の昂りは、きっとそういうことなのだと思います。




実は、このご家族は基本的にweb掲載不可なのです。しかし今回、改めてお願いをさせてもらいました。お子様のお写真と一緒に、私の気持ちを書かせて欲しい、と。ママさんは、私のblogも読んでくださっており、「どんな気持ちで、撮影してくれているのか知りたい」と仰ってくださいました。

改めて、掲載不可の方にお願いしてまで、私は何を伝えたいのだろう、と真剣に考えました。その答が、この文章です。写真を撮ることは、私が唯一誰かの為にできること。とは言え私自身は、技術的に秀でた写真を撮ることができる撮影者ではありません。それでも、「青葉店まで追いかけて来ちゃいました!」と言いながら、わざわざ会いに来てくださるご家族がいます。私が撮る写真、それに込める「想い」は、そこに在る『尊いもの』をいつか遠い未来で写真を見返した本人やご家族に感じて欲しい、という願いです。そういう願いを持って撮影をしている私の姿勢は、同じ価値観を持つ方には共感をしてもらえるのかも知れません。ひとつひとつの撮影に真心を込めて、そのご家族の中の『尊いもの』を大切に写真にする。私が価値を置くこと、姿勢として貫きたいことは、それに尽きます。「うちの子が成長した姿を見て欲しくて〜」と言ってもらえることは、本当に、本当に幸せなことです。再会の度に、赤ちゃんの頃の名残を何処かに感じながら、その子の成長を共に喜び合える、そんな距離感で撮影をさせてもらえる、そのご家族との繋がりがとても大切なのです。

『真心の共感』、それがこのご家族との関係の規定です。
私の心はご家族の中の『尊いもの』に注がれ、彼の成長は私の喜びにも繋がります。私のその心は、彼のご家族の共感を呼び、こうしてまた会いに来てもらえる、そんな幸せなことが起こります。

「どんな気持ちで、撮影してくれているのか知りたい」、そのママさんの言葉は、私に「気持ち」があることを知っての言葉でした。
掲載許可をいただけたこと、本当にありがとうございます。
私から、彼への、彼のご家族へのこの気持ち。「想い」はきっと、届いていると思っています。

 

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美しさを表現し、思い出を記録する、楽しい遊びの空間

人生の写真館ライフスタジオという名前に込めた想い。
それは、出会う全ての人が生きている証を確認できる場所になること。
家族の絆とかけがえのない愛の形を実感できる場所として、
人を、人生を写しています。

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