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【ライフファミリー090】15の四季。(ライフスタジオ横浜青葉店:Kuroki Reiri)

投稿日:2019/4/18

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15の四季。

- Hirotsu Family -


彼女は、私の大切な友人です。

出会ったのは、今年の春の撮影で、でした。その出会いについては、以前私のblogにも綴らせてもらっています。

▶︎そして「はじめまして」は続く。〜15の春と4月の嘘。

▶︎Butterfly15  15の春。

今回は、その続きの話、です。彼女との出会いが私にもたらした、私の中の大きな変化の、話。

彼女との出会いから少し経った頃、ライフスタジオでは『シンデレラプロジェクト』なるものが動き始めていました。普段は、スタジオという条件の整えられた環境下でご家族や子どもたちの撮影をしている私たちが、そこから飛び出してもっと自由に、もっと挑戦的に、成人やティーンエイジャーの撮影に取り組んでいく、というこのプロジェクトは、Instagramで10代のモデル募集をするところから始まりました。プロジェクトが動き出した時の、私の率直な心情としては、『私の出る幕はない』でした(すみません……)。と、言うのも、どうにも私は、写真そのものの撮影技術を追求したり、作品としての芸術性を突き詰める表現者としてのストイックさに欠けていました。『ライフスタジオ』に来てくれるご家族や子どもたちと、その『想い』への共感や撮影の楽しさを共有しながらご家族の思い出の記録を残していくこと、には使命感を感じていましたが、いち撮影者として自分の撮影技術や芸術性を追求する場へ出向く程の情熱が、自分の中に感じられなかったのです。

動き出したプロジェクトを眺めながら、「自分には自分のやることがある」と、言い聞かせていた頃、ハッシュタグで意思表明をしてくれるモデル応募者の中に、見たことのある写真を見付けました。あの15歳の女の子が、私がスタジオで撮影した写真にハッシュタグをつけて、応募してくれていたのです。その瞬間、私の中に湧き上がったのは、『彼女を撮りたい』という使命感のような気持ちでした。15歳という年齢の彼女が、あの撮影で何を感じてくれたのか、その時の私はまだ知りません。でも、彼女が撮影後もライフスタジオのHPやInstagramを見てくれていて、こういうプロジェクトが始まっていることを知って、それに応募するというアクションを起こしてくれたことは、あの日の撮影からの縁の繋がりを少なからず感じられること、でした。

しかし、私はすぐに行動を起こすことができずにいました。前述の通り、『写真』を中心に据えたプロジェクトにおいて自分の出る幕はないと思っていましたし、横浜青葉店や自分個人が取り組んでいるプロジェクトで私のキャパシティはオーバー寸前で、とてもそこまで手は回らない、と思いながら、それでも何日か、何だかもやもやとしながら過ごしました。

やがて気付いたのは、このもやもやした気持ちが『後ろめたさ』だということ、でした。それに気付いた時、自分がこのプロジェクトに、撮影に参加しない理由の全てが、臆病者の言い訳でしかないことを自覚しました。自分には表現者としてのストイックさがない、撮影技術や芸術性を追求する場へ出向く情熱がない、といううのは、客観的に判断して、撮影者として怠惰な姿勢でしかありません。自分が使命感を感じるのはスタジオでの撮影だ、というのも、何だか狭量で、そんな技術向上の志のない撮影者の写真が、本当に『ご家族の思い出の記録』という価値を生み出せるのか甚だ疑問です。

結局のところ、『写真』の芸術性や表現技術を見られる場に出向くことで、自分の技術の無さを露呈することが恐かっただけ、なのです。
そして、15歳の彼女が撮影モデルに応募してくれたその行動に対して、私のその臆病さは、不誠実でした。
春に彼女に会った時、色々な話をして、関わって、彼女の純粋な眼差しは大人として背筋を伸ばして向き合わなければいけないな、と思っていました。それなのに、今の私は言い訳を並べ立てて、自分にできるかもしれないことから逃げている。

ああ、これは、後ろめたいことだ。とても、かっこ悪いことだ。

私にその自覚をもたらしてくれたのは、彼女だからこそ、だったかも知れません。

彼女の純粋で真っ直ぐな眼差しに出会って、私の写真や撮影を喜んでくれた、そんな彼女の期待に応えられないような、そんな大人になってしまうのは、嫌でした。腹を決めて担当者に連絡を取り、ママさんに直接ご連絡をしたところ、私が撮影をすることをとても喜んでくださいました。

初めてのロケーション撮影は、たくさんの準備が必要でした。イメージを練って、衣装やヘアメイクを考えて、そのイメージを被写体である彼女にもお伝えして、ロケハンをして、移動の動線を計画して……毎日バタバタと過ぎていく中で、それでも準備をしていくことで、悩んでいたことも、不安も、ひとつずつクリアになっていきます。何より、彼女という被写体を何処で、どのように表現していくかということを考えることは、とてもワクワクする作業でした。準備を重ねながら思ったことは、

「なんだ、私もちゃんと写真のことを考えて、ワクワクできるんじゃないか」ということ。

『写真』そのものに対しての探究心を、自分の中にあまり見出せていなかったことは、撮影者として一種の劣等感を感じる部分でした。私にとって、この撮影をしようと思ったきっかけは彼女との関わりがあったからこそ、ではありますが、それでも『彼女の為の写真』を追求しようとする、そんな『写真』に対しての情熱のようなものが、自分の中に沸々と湧いてきていたことが、嬉しかったのです。

 

撮影当日は快晴で、コーディネーターとしてなっちゃんも同行してくれました。彼女と彼女のママさんと、打ち合わせと称してただただおしゃべりを楽しむ4人のランチタイムは盛り上がってしまい(笑)、時間ギリギリになってヘアメイクをして、話しながら移動をして、夏の陽射しの下で撮影を始めました。機材の重さも太陽の暑さも忘れるくらい、夢中だった約3時間。今思えば詰め込み過ぎの撮影で、初めてのロケ撮影は準備不足も段取りの悪さもありましたが、それでも信じられないくらい、本当に楽しい撮影でした。初めて一眼レフを買ったばかりの頃のことを、思い出しました。カメラの扱いがわからなくて、説明書と写真の撮り方、みたいな本を読み込みながら、休みの日にはカメラを持って朝から晩まで写真を撮っていた頃のこと。あの頃は、とにかく自分の好きなようにだけ撮っていられる花や空や風景ばかりを撮っていました。今は、ファインダーの向こうには感情を持った『ひと』がいて、撮影を温かく見守ってくれる人がいて、一緒に手伝ってくれる仲間もいる。『写真』がこんなにも楽しい。そんな感覚は、ちょっと病みつきになりそうなくらい、撮影者としての欲求を刺激してくれました。

 

その後、彼女のママさんとは、何度も手紙やメールのやり取りをさせてもらいました。その中で、あの春の撮影が彼女たちにとっても特別なものになっていたことも、知りました。私が想っていたことは、blogに言葉で綴ったことで、きちんと彼女たちに伝わっていて、そしてその想いを受け止めてもらえていたこと。私は私自身のことも随分お話しさせてもらいましたし、オープンな『わたし』として、彼女たちとご縁を繋げていくことができました。

”あなたの為の、あなたの写真を撮りたい。
あなたが、『あなた』という存在を肯定できるような、そんな写真”。

ここ数ヶ月で、私の『写真』に対しての姿勢の根幹は、この言葉に集約されました。私がはっきりとそう思うようになったのは、彼女との出会いがきっかけです。私が撮影した写真が、私から見た『あなた』の美しさを表現した写真が、『あなた』に力を与えてくれるものでありますように。

その為に。ただ、カメラの前にいてくれる『あなた』の為に。

私は、写真を撮っていく。

先日、彼女と彼女のママさんと、また撮影に行きました。今回は完全にプロジェクトを離れ、いちカメラマンとして、ひとりの友人として、15歳の彼女が過ごす四季を撮影したい、という個人的な作品撮りのような、そんな感覚での撮影でした。前回の経験を踏まえて、ロケ撮影での小物の重要性も知ったし、詰め込み過ぎのスケジュールも良くないと理解しました。秋の横濱を一緒にお散歩しながら、のんびり会話をしながら、時には彼女自身からの提案を受けながら、穏やかにシャッターを切っていく、そんな午後。彼女の近況を聞きながら、またこの3ヶ月で彼女の世界がぐんと拡がっていることを知り、ただただ嬉しい気持ちになります。彼女もまた、自分のカメラと三脚まで持参して、横濱の日暮れを撮影しながら、一緒に写真の話をします。撮影終了後にはサプライズで育休中のかおちゃんに登場してもらい、でっかいパンケーキとかおちゃんの愛娘ちゃんのむちむち具合を堪能しました。笑

 

15歳の四季。春、夏、秋と撮影を終えて、残すは冬の撮影です。「あと1回で終わっちゃうなんて……」と、彼女は残念そうに言いました。私としても全く同じ気持ち過ぎて、多分、恐らく、何らかの形で続けてしまうんだろうな、と思ってしまっていることは、まだ内緒です。笑20歳も歳の離れたお友達ができてしまいました。その友達は、写真が好きで、カメラが好きで、透明感のある美しいひとで、私の背筋を伸ばさせてくれる、そんな存在。新しいことも、勇気が必要なことも、彼女の為なら飛び込んでいける。そんな存在。

【私の『写真』に対しての姿勢の根幹を、明確にしてくれたひと】。彼女との関係は、そんな感じです。
ライフワークと言える撮影が、またひとつ、できました。カメラを持って、ファインダーを覗く、その先に彼女がいてくれることが、私を撮影者として高めてくれる。『わたし』を、ひととして真っ直ぐに、立たせてくれる。

 

彼女を撮った私の写真が、彼女の力になれれば良い、なんて言っていますが、何を隠そう私の方こそ、彼女の存在に救われていたりするのです。大切な、私の友人。彼女と友達でいさせてもらえるような、そんな信頼に足る大人でありたいと、自らを律していくばかりです。


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【殿堂入り】

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ただ単に撮る人、撮られる人ではなく、
「あなたに会いに来ました」と言えるような関係が増えていくことを願っています。

 


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