フォトジェニックアーカイブPhotogenic Archive
蓄積と応用
投稿日:2014/2/28
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成人写真の研究をしている。
成人に対し、頭の先からつま先、指先ひとつにまで気を配り、ポーズを付けるというものだ。
行き場のない足元や、置き場のない指先、角度のない単調な姿勢は写真全体をぬるくする。
つまりそれは、偶然性に惹かれてシャッターを押すのではない。
自ら決定的瞬間をつくりだすということだ。
成人写真の基礎は、大人にだけしか使えないわけではない。
基礎を自分のなかに確かに落とし入れたあとは、応用させるのみ。
だが、窮屈な型に子どもを当てはめるのではない。自らの中に型を幾つもつくり、その子にあった型を引っ張りだして提示するのだ。それが、基礎の応用である。
ポーズを撮る際にはまず、被写体が無理なくポーズをとれるように足元から固めていきました。勿論、脚はどれくらい開いて、つま先をどこに向けるのと安定するのか。それをカメラマンは理解していなければなりません。
次に膝の位置。腰の角度、肩の角度、そして顔といったように、徐々に上に上げて行き完成させます。ですが相手は子どもです。何秒という瞬間的な指示で、ポーズを完成させなければなりません。それはより、的確な指示を要します。
プロとして蓄積した知識を応用することは、結果として被写体の身体が一番美しく見えるポージングを提示することになるからです。
初めて浦安店に来たときに、この玄関のインテリアに一目惚れしたのを覚えています。
青い玄関は、「爽やか」で「夏らしく」、「笑顔が似合う元気な」写真。そんな核心をもったインテリアだと思いました。
なので、私はここで撮るときにはいつも玄関のドアを少しだけ開けて光を入れていましたし、広角で被写体のはじけるような表情をより誇張して表現することが常でした。すべて理由があり、そういった撮り方をしていました。
ですが、1月2月と私の中で、人生で何度目かの写真の転換期が訪れました。それは、成人写真から始まり、ポージング、光・・・様々な分野で写真の撮影方法に関して刺激を受けたからです。
沢山写真の話をしました。そして、自ら勉強に勉強を重ね、もっともっと進化しようと思いました。写真は楽しい。追求すればするほどにもっともっと深く先が見えないものなのだということが分かるからだ。
成人写真のポージング、美しいライン作りと四肢全てに行き場を作ること。
自分とは違う光の作り方と入れ方。構図。
それら全てを取り入れ蓄積し、応用に至ったのがこの写真です。
実は、この被写体は1歳の時に、青山店で私がオムツ写真を撮影した子なのです。
4年経ちすっかり大きくなって、そして生まれた妹はあの頃の彼女にそっくりで。
2人とも本当に可愛くて、仕方がなかった。
髪も伸びて、成長した彼女に恥ずかしくないような、そして何より自分の彼女たちへのこの気持ちを余すことなく表現出来るような、それに見合った技術を蓄積し、そして応用することが出来た撮影であった。
(文章:岡村)
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10年後に、この写真を見たこの子が恥ずかしいと思わないコーディネートをしたい。 なんとなく良いと感じているものを説明出来るようにならなくてはいけない。
コーディネートの基本は『色、素材の質感、シルエット』の3つだと言われます。
まず色は、衣装の色味や明るさを合わせるわけですが、3色でコーディネートすると、まとまりやすいです。
今回は、白、茶、青の3色。
スタジオでの撮影においては、衣装だけでなくインテリアとの相性も考えています。 浦安店の玄関は、白と青。
衣装とインテリアで使用されている色を合わせても、3色にまとめられています。
次に素材の質感。
例えば冬のウール素材と夏の麻素材が同時に使われているとアンバランスになってしまいます。
そして、シルエット。
シルエットは服の形や服をコーディネートしたときの形のことです。
この写真のコーディネートはIラインと呼ばれるシルエットであり、タイトなジャケットにタイトなスカートを合わせ、全体に縦長のスッキリとした着こなしです。
縦長のラインを作ったポージングも、衣装のシルエットを崩さずより、強調されています。
色、質感、シルエットの3つをコーディネートに対して認識出来ることは、
コーディネーターとして、写真に対し説明が出来るということです。
なんとなく良いものを、理由を持って良いと言えるように、私たちは知識と技術の蓄積と応用を常にしていかなければならないのです。
(文章:小出)
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