
写真は計算ではなく感じて撮るものとは言いますが被写体が何であろうとやはりある程度の計算は必要だと思います。計算と聞くと一瞬妙に感じるかもしれませんがここで言う計算というのは数学的な数式のようなものではなく瞬間を納める為の流れのようなものです。
私たちが日常で目にする決定的な瞬間を写した写真にも必ず計算が入っています。例えば報道カメラマンを見ても分かりますが特定の人物や事件の瞬間を写すために何日も何カ月もその場で張り込み、どの方角からどのような経路で現れるかを他のスタッフと逐一連絡を取りながらやっとの思いで週刊誌の一面を飾れるような写真を撮ってきます。運よくたまたまその場に居合わせカメラを持っていたから写せたというケースもあるでしょうがSTUDIOでそれを求めるのはあまりにも無理があります。
この写真にもいくつかの計算・予想が入っています。まず一つ目の構図ですがシャボン玉の流れ方からして左に人物を置き右の空間を空けてあげなければいけません。これでまずベースとなるものが決まるわけですが次の計算は被写体がどの指でシャボン玉を触るかです。それが右手なのか左手なのか。「そんなこと分かるわけないだろ」と言われるかもしれませんが何回か目の前でシャボン玉を見せてあげればその子の動きもすぐに分かります。人は誰にでも利き手があるので。9月のPhotogenicの説明でも書かれていたようにカメラマンにとって観察力というのもが非常に重要な要素であるというのも理解ができます。ここまで説明をすれば後は分かるかもしれませんが最後の計算はシャボン玉の流し方です。サイズ、速さ、位置、タイミング、これによっても大きく変わってきます。ここで重要になってくるのはもう一人撮影に入っているアシスタントの存在です。結局一連の計算ができたとしても最後がくるってしまえば答えには行きつくことができずそれだけにアシスタントの役割がカメラマンよりも重要になります。このシチュエーションを完成させてくれた彼女に感謝します。