
季節がひとつ動いて太陽の通り道がかわり、
10月のはじめから、
この白い部屋の左の窓からあたらしい光が差し込むようになりました。
トランクに座ったところで、
彼女がアシスタントとの会話をそばにおいて、
ちょっぴりいたずらな表情で一人の世界に入りはじめたので、
カメラマンのわたしはそこを捕まえたくなりました。
カメラマンとアシスタント、
常に笑顔だけをひきだすのではなく、
被写体の一人になりたい気持ち、思いつき、
そういったものも大切に見守ります。
皆に背を向けて座ってもらうことでのびのび解放感を味わってもらい、
見守る者たちは、一人の世界に入りはじめた彼女に集中するため、
白い世界で色を持つのは彼女だけにし、
左から右へ落ちる秋のあたらしい光で、
彼女の視線の流れをより確かなものに表現しました。
彼女が視線を落としたきっかけを想像してみてください。