
とても真剣な子でした。
「しんけんにしゃしんをとりたいから。」
と、彼女からの希望でアシスタントもご両親にも席をはずしてもらい、
わたしと彼女ふたりきりの撮影。
写真に真剣というのは、自分自身に真剣ということ。
これは、小学校にあがり、
家族の中の自分から、クラスの中の自分というもうすこし広い範囲の中の自分を認識し始めた7歳ならではの自我。
彼女の望んでいる“かわいい私”を正確に残すよう、
また、そんな気持ちに失礼のないよう、
わたしは撮影を進めたのですが、
さまざまなお気に入りの表情を持つ彼女にひとつ提案したくて、この1枚を撮りました。
「この色こんど試してみて」「この指先どうかしら?」「こういう角度で見たことある?」
言葉にはしませんでしたが、
写真に小さなコミュニケーションをしかけてみました。
光や、構図や、着物のみせ方といった技術的な“表現”は常に正確にそこにあるべきですが、被写体の内面にはたらきかける、
そんなしかけもまた写真の役割であり、カメラマンの腕のみせどころだと思っています。
ご両親の成長を祝う気持ちに、
ひとりの女の子の”わたし”を表現したい気持ち、
カメラマンからのいたずら心が加わった一枚でした。