
人は場面に応じて衣服を選び、その衣服に合わせた立ち居振る舞いをします。
目的に応じて伝統や格式、威厳、時には感情や情景までもを表すためにさまざまな所作が生み出されてきました。
こうした所作は衣服の持つ特性や意味合いを最大限に表現する為の形ということでしょうか。
3歳の七五三における着物にこうした所作の正しい形があるとすれば、彼女がとったこの形もその一つのように思えてきます。
緊張と恥じらい、わずかな高揚感。
様々な感情を表現しながら、着物という衣服がもつ美しさを表すために指先からつま先まで寸分の狂いもなく正確に置かれているように見えてなりません。
驚いたのはこのときカメラマンが要求したのは花の位置と視線だけだったということ。
そんなわずかなきっかけから美しい所作を見出す彼女の感性に脱帽させられます。
あるいはこれも着物という今となっては特別な衣服がもつ魔力なのかもしれません。