
全ては偶然の産物であった。
燦々と照る自然光、被写体の表情や仕草・・・。
時にそれら全ては偶然からなるものであるが故に、
ファインダー越しに見ている私がどうすることも出来ないものでもある。
だがそれを一枚のフレームとして切り取った瞬間、
偶然は必然となった。
この時間帯のこの光でなくてはならなくて、
赤いワンピースでなくてはならなくて、
被写体は他の誰でもなく彼女でなくてはならなくて...
何か一つでも欠けていたら、天窓から降り注ぐ柔らかいその光が、
被写体の魅力をこんなに顕著に映し出すことはなかった。
その一瞬一瞬に心を奪われシャッターを切る私の前で、今日も偶然は必然を生んでいる。