
流れゆく時間のなかで精神を集中し、被写体の息づかい, 位置, 行動.. などの写真の要素たちをカメラの四角フレームの中に盛るのだ.
レンズの先が銀絶え間なく動き、それが時間を超越した形態と表情がかみ合う瞬間
決定的なものが生まれる。
その瞬間私はシャッターを切る。
時に私は、撮影が終わるとなんだか分からない疲れと、何か満たされない瞬間に対する渇望が沸き上がり、それに対する答えを見つけようと迷うときもある。
その答えを、少し前にみつけたのだ。
私はすでにその答えを持っていたのだ。
長年撮影をしてきながら、ただその答えを見逃してしまっていたのだった。
そして、初心に戻ってシャッターを押す前に、なぜここでシャッターを切るのか自分に問
うのだ。
フランスの有名な写真作家 “アンリ・カルティエ=ブレッソン”
[魂の視線]というエッセイ本で彼は言う.
“私の熱情は写真自体ではなく
自分自身を忘れて被写体の情緒と形態の美しさを刹那に記録する可能性,
言い替えれば見えるのが悟らせる幾何学を向けたことだ
写真撮影は私のスケッチブックの一つだ”
カメラに世界を盛って入れようとする欲心よりは
世界をカメラで捕捉しようとする淡泊な態度を見せたブレッソンの考えたちを土台で
満たされない瞬間の刹那を切望する私は、その瞬間被写体のその情緒と形態の美しさを静かにカメラにおさめるのだ。