フォトジェニックアーカイブPhotogenic Archive

被写体を主役として周囲のインテリアを取り込む

投稿日:2010/4/13

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主役を点景として周囲のインテリア風景を広く取り込む事を意識して取った写真だ。この写真の主役は子供である。 ソファーに座った兄と左側に弟が座り二人の関係性も盛り込みたかったのだが、二人の調整が難しく、アシスタントの判断で兄一人でのシチュエーションとなった。 撮影は限られた空間と照明、衣装、被写体とのコミュニケーションで行う総合的な創作活動であると思う。 その撮影要素の中でも被写体(顧客)とのコミュニケーションが一番不確定な変化要素である。特に子供の場合はその場の雰囲気によって撮影者が要望している要求に対し、予想外の行動をする事が多い。その為、いかに子供に自由を感じさせながら撮影者が望んでいる場所で撮影したいイメージや仕草をさせなければならない。 この写真を撮影する3日前に業務が終わって室内の照明を少したスタジオ内をふっと見てイメージが湧いた。 撮影で今回表現したかったアンティークなイメージ、その為古木の質感を照明により強調しレトロな棚、ソファー、カバン等で揃えた後、帽子をかぶった子供が座る事で完成した。 撮影時に横でお父さんが「雑誌のような写真になりそうだね」と話していた。 写真は全体的な構図を7割位表現できたので自分の中ではほぼ満足している。 被写体の足元の照明は本来であれば光を弱めてより被写体の体のラインを鮮明に出したかったのだが、限られた照明で被写体の顔を暗くしない為には後ろの光と下からの光が必要だった。 雑誌の撮影のように事前に綿密な準備をした後にモデルを座らせてイメージ通りの撮影をするのと違い、家族との関係性の表現、入学記念という記念写真、撮影時間を楽しませるイベント的な要素も含まれており、撮影時間中自分のイメージを失いそうになる事も多くある。撮影終了後、常に反省をする部分である。 本当に元気で明るい3兄弟で撮影後には汗を流していたが、3兄弟から新しい気持ちや「エネルギー」をもらった気がする。

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