
写真は不思議だと思うことがあります。
カメラマン、コーディネーター、被写体、それぞれの関係性によって同じシチュエーションであっても全く違う画に仕上がります。
今回の被写体のご新郎様は、お会いするのが今回が2回目。
前回はあまりゆっくりとお話しできなかったので、ご新婦様のお支度の時間にいろいろとお話しさせていただきました。
ご新郎様がバイオリンの奏者ということから音楽の話題で始まり、自分の母校とご新郎様の母校がご近所ということでローカルな話題にまで発展しました。
とても気さくで話しかけやすいお人柄や凛とした雰囲気に、友人に話しかけている様な感覚、兄を慕うような気持ちになっている自分に気付きました。
心の作用としてはきっとわずかなきっかけかもしれませんが、この感覚がこの写真を始め、この日の撮影になにかしらの影響があったように感じます。
この日はあいにくの雨。
一日前の真夏の様な陽射しに花開いた庭の八重桜。
二人の門出に是非ともこの花を添えたいと必死で画角を探している自分。
いつもと同じ行動なのに、不思議なほど思い入れを感じました。
もちろんご新婦様も桜の花と一緒に撮った写真もあります。
とても美しい方だったのですが、恥ずかしがりやな方だったのでこちらでご紹介できないのが少し残念です。
さて、この写真のイメージですが、この日の雨がお二人にとって恵みの雨になればと思い、雨をイメージした手前のオーナメントに光を当て輝かせました。
ご新郎様の静謐な雰囲気に合わせるように色合いも淡く抑え、逆光を用いることでご新婦様を待つ間の緊張感やこれからの二人の人生への決意を感じさせるような凛とした雰囲気を演出しました。