
「写真は引き算」という言葉をよく耳にします。
表現したいものを最大限引き出すため、必要のないものを極力フレーム内から排除するよいう行為を、算術に例えてそう表しているのでしょう。
撮影中に少女がとった仕草・・・それによって、手前に置かれたカバンと被っている帽子で彼女の姿はこちらからは殆ど隠れてしまいました。
一瞬の戸惑い(ポーズを改めて仕切り直すか...という迷い)の後、ほぼ無意識的にレンズを望遠側に回しながら、3歩ほど被写体に歩み寄りました。
顔の一部分しか見えてない状態がむしろその存在感を強めています。
主題は目。
目に意味合いを持たせるため、視線の向いている左側に若干の空間を設けました。
顔前に置かれた左手もこの仕草の重要な要素です。
あとはバランスを整えシャッターを切る。
必要のないものを排除し、主題をはっきりさせる『引き算』。
彼女が偶然撮った仕草から、その言葉の意味合いを実感できた瞬間です。