
妊婦の撮影は、他のどの撮影よりも主題が明確だと言えるかもしれません。
新しい命、生の喜び、生命の神秘、そうした主題が大きくなったお腹に宿っています。
しかし、母体である女性には確かに人格があり、それを無視してお腹のかたちにだけ焦点を合わせるわけにはいきません。
主役は母親の人格か、新たな生命か。
マタニティ撮影の際は常にそうした葛藤を抱きながら被写体に相対しているように思います。
時にお互いの関係性をあえて絶ち、それぞれを独立した存在として成り立たせる。
そんな試行錯誤も必要ではないでしょうか。