
この世界に存在するあらゆる光。
私たちの目は、光があって初めて物の形や色を認識することができます。
しかし、人間の目はそこにある光をありのまま正確に見ているとは限りません。
網膜から入った光は電気的な刺激となり脳へ伝わり、脳の中でより物の形や色を認知しやすいように補正され、像を結ぶのです。
暗い部分は明るく、明るい部分は暗く。
ある意味でとても複雑な処理能力を持った優秀な私たち人間の視覚機能。
しかし、カメラはこのような優秀な補正能力を持っていません。従って、そこに存在する光の量の差をそのまま正確に写し出すのです。
この違いが時として私たちが目にしたこともない、不思議な世界を写し出します。
これもまた、写真の醍醐味のひとつと言えます。
そして、この写真もそんな一枚といえるでしょう。
この瞬間、カメラのレンズとまったく同じ位置からこの光景を肉眼で見たとしても、決してこの写真と同じように見えることはないでしょう。
ここには、「目には見えない世界」が映し出されています。
まるで、彼女が覗いている宝石の中の世界と、この目には見えない世界がリンクしているかのように。