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その日はとても日差しの強い日で、幾何学模様の窓枠の影が鮮やかに印象強く床に伸び伸びと落とされていた。
そしてその影は、白いキューブに座る小さなお姫様とカメラを手にした私により、単なる日常の部品から情景のモチーフへと華麗に転じることになる。
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「何か」を見つけ、その対象を写真におさめようとファインダーを通して観てみると、景色を構成する物々がモチーフへと変化する瞬間を感じることが出来る。
その中で、幾何学な影と共にピンと伸ばされた彼女の足は、この写真に+αの表情を付けてくれた。
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私はこの時、光の中で彼女との対話を純粋に楽しんでいた。
話す内容の度に動く、その足が本当に可愛くて可愛くて
目が離せなかったのを覚えている。
私との対話の中で、嬉しそうに足をピンとしたり、
恥ずかしい時は両方の足をクルっと絡めたり。
物々しいカメラの存在を思い出してしまった時には、
緊張と共にその足は下に下げられてしまったり。
その子供らしい一挙一動に、魅了されてしまった。
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クルクルと変わる彼女の表情を、ひとつも見落すこと無く
拾い上げて焼き付けて、また新たな表情を見てみたい。
「撮影」というよりは、光の中で彼女と遊んでいる
そんな感覚だった。
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