
この日の主役は彼の弟だった。
弟の撮影に大人たちが集中する傍ら、おとなしく控えめに兄である立場を弁えつつ、静かに一人で遊んでいた。
きょうだいでどちらかが主役の場合、主役ではない一人に寂しい想いをさせてしまっているような気がして、少しでも主役気分を味わってもらおうと思っている。
まずは衣裳小物にこだわり、古びた印象にするアクションをかけることを前提に撮影し、カメラ目線ではなく節目がちにすることによって荒廃的なイメージに近づけた。
いざ撮影が始まると、待ってましたとばかりに満面の笑みが溢れ出たが、兄としての立場をわきまえた彼の優しい部分を表現できた気がする。