
自然光が好きな私は、かつて昼間の光を追いかけ
ちょっと入ってくる自然光に貴重さを感じていました。
そして夜の撮影に苦労していました。
この暗い状況でどうやって昼間のように撮影をしていったらよいのだろう?
・
・
しかし、逆に考えると夜しか撮れない写真があります。
ある時教わりました。
光を遮るほうが足すことより難しい。
・
光がたくさん入ってくる部屋で窓を塞ごうとしたら遮光カーテンをしなくては
ならないし、小さな隙間も埋めなくてはならない。
窓がたくさんあるライフスタジオではかなり難しいことです。
・
昼間は自然光が入ってくることを価値あることだと考えるならば
夜は入ってこないことが価値であると考えます。
・
彼女はお人形の様な容姿をしていました。
背景の黒い部分は窓になっていて、普段は外の様子が見えています。
この時はもう夕方で外は完全に真っ暗になっていました。
そしてこの真っ暗の状態が、私がこの写真を気に入った大きな要素です。
女の子の色の白さ、肌へ光が当たる場所、赤い唇
暗い背景だからこそ際立っています。
・
ガラスの向かい側にあるキューブ形のインテリアが反射し、カーブを
描いている窓に歪んで映り、タングステンの電球のオレンジ色をややうけながら温かみがある光が窓と
女の子の背中を照らしていました。
シックでありながら温かみを加えることができた夜の撮影。
・
夜だから…ということを言い訳にせず
あるものを利用し、そのときだから残せる写真を撮っていきたいです。