フォトジェニックアーカイブPhotogenic Archive

smile blue

投稿日:2010/11/29

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子どもたちの笑顔を見ているとなぜこんなにも幸せを感じるのでしょうか。 写真の良さは笑顔だけでは語れないと思いますが、見ていて幸せな気持ちになる大きな要素の一つはやはり素の笑顔であることのような気がします。 . 幼稚園の年長組に在籍する彼は、カメラを向けるとにっこりと私たちに微笑みを向けてくれました。私は彼の投げかける笑顔を何枚も記録として残しました。しかし、撮影が後半にさしかかる頃には笑うことに疲れてしまったような雰囲気が彼の中に見てとれました。子どもが大人を喜ばせるために向けた笑顔に果たしてどれほどの価値があるのだろうかと、強く考えさせられた瞬間でした。 私たちはもっと彼が楽しめるような空間を演出することに思考を巡らせました。私たちは気持ちを切り替える必要がありました。彼の向ける笑顔だけに頼ってはいけなかったのです。 . そして、アシスタントと遊ぶことだけに集中するようになった彼は、カメラを意識することがなくなりました。やがて、遊びを通して心の底から楽しんでいる空気感が部屋を満たすようになりました。私たちは彼を笑わせたのではなく、共に笑っていたのです。一つの空間の中で、遊びながら、私たちは一つになったような気がしました。そこにあったのは、彼だけの笑顔ではなく、彼を囲むすべての大人たちにも存在していたのです。 笑わせたのではなく、共に笑っていた。 この差は、非常に大きいものであると考えます。部屋の中は、みんなの笑い声で溢れていました。私も笑いながら写真を撮っていたのです。楽しいっていう言葉を10回くらい連続で唱えても足りないくらいに、私はこの空間を楽しんでいました。 . この写真を構成する主な色はwhiteとblueの2色だけです。コーディネートも、背景も小物も同系色のものだけで揃えました。恐ろしいくらいのシンプルイズベストです。でもだからこそ、彼の笑顔がより引き立ったのではないかと思います。 お渡しした75枚の最後を飾ったこの写真は私たちが一つになった最高の瞬間でしたし、最後を飾るにふさわしい写真になったと思います。

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