
人に、写真に、自分自身にもっと深く入っていきたい・・・。
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人物の特徴をより良く表現するための演出はどのようなものなのか。
カメラマンの宿命でもある観察力が重要だと考える。
では、観察力とはどのようにして養っていくのかという問いに対して
私なりの答えを述べたいと思う。
それは常に人を喜ばせたいという気持ちを持つことである。
毎日顔を合わすスタッフの小さな変化にさえ気がつく事ができなければ、
いざ、撮影中に被写体の心の変化に伴う動きを読み取り、
それに伴ったフットワークで決定的瞬間にシャッターを構えることができるのかということだ。
逆に、撮影の時だけ被写体に集中し変化を探して懸命になるということは正しいことではないと思う。
つまりそれは本能ではないと考える。
本能が感じる瞬間を大切にしなければならない。
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朝の挨拶ひとつかわす事で今日は何だか元気がないのか?
昨日は何か良い事があったのか?
常に日常生活の中から人を観察しなくてはならないということだ。
それが、単純に人を喜ばせる事だったりするのだと考える。
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上の写真はライティングがどこからなのか、カメラの角度はどのようにするのか、
そしてトリミングはどのようにしなければならないか等、
カメラマンの確実な意図があってこそよりよい写真が生み出されるのだ。
上の写真は右側から入ってくる光を利用しながら、
被写体を中心に置き写真に安定感を持たせた。
更には大きい目の特徴を掴むために少し上の角度からシャッターを押した。
ドレスのレース部分が光に柔らかく溶け込み、女の子らしさもプラスした。
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撮影する場所が今ここであるのなら、
そこで最大限の能力を引き出す事も重要である。
いつもの場所に被写体を誘導していく行為は、
時に私達を機械的な写真へと導いていく危険がある。
今回の一枚は屋根小屋という子供仕様のスペースに被写体よりも私が奥に入り込み、
新しい撮影場所を生みだしていった。
被写体を動かす力も重要だが、
ます先に撮影者自ら動かなくてはいけない事を
再度教えてくれた一枚でもある。