フォトジェニックアーカイブPhotogenic Archive

赤い花と黒いねじと私

投稿日:2010/12/22

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1、なぜストロボで撮影したのか? 2、なぜ白のバック紙で撮影したのか? 3、なぜシンクロコードを画面に映しこんだのか? 4、なぜ黒いねじを被写体の前に置いたのか? 5、なぜ俯瞰で撮影したのか? ・ 私はこれらの5つの問いに、嘘をつかず正しく答えられなければなりません。 私は、ただかわいいからとか、きれいだったからとか、おもしろい仕草をしたからという理由で瞬間的に撮影することがほとんどで、 写真の説明をする理由が見当たらない場合がよくあります。 そのような場合、偶然で撮影された写真が多く、安定して良い写真が撮影されるとは思いません。 偶然で撮影された瞬間的な写真が悪いという事ではなく、とても重要です。しかし被写体以外の要素(レンズ、光、構図、インテリアなど)も考えて活かそうとしなければ、 自分の目的に合った表現したい撮影ができなくなる恐れがあると感じるからです。 被写体も光も構図もインテリアもじっくり観察し、イメージし、様々な手法を用いて、写真の説明を繰り返し行い、被写体に魅かれる写真を撮影することが私の存在価値です。 ・ 1、 ストロボは、シャッターを切る瞬間に、光を放つ装置です。弱、中、強という風に光の調節もできます。 大量の光を放つことで、シャッタースピードは250分の1で切れますし、絞りもF8前後で撮影することができます。 なので、手前から奥までピントの合った写真が撮影できます。 私は、わざとコードを入れて撮影するためにぼかさないで撮影したかったのと、 大量に光を後方から当てることで、手前に影をだしてすこし暗めに写し、白に被写体の存在感を惹きたたせたかったのが狙いです。 ・ 2、 白バック紙は、オムツ姿の被写体とよく合うと思ったからです。 それと、インテリアでの蛍光灯、自然光以外の撮影をした場合、自分はどのような撮影をするのだろうと、自分の能力に対して興味を持ったのと、新たな価値を生み出せると思ったからです。 ・ 3、 手前に伸びているコードは、カメラと繋がっています。つまり撮影者がそこにいます。 私は、共に撮影している空間を写真に残すときに、どのようにすれば撮影者の存在も写真に表現できるだろうと考えた時に、自分のカメラについているコードを写すことで 表現できると考え写しました。しかし、彼の世界を壊してはいけないと壁を立てます。それが、左に写っているレフ板の黒い斜めの線になります。 被写体の頭の後ろのコードは、手前に置かれたねじに興味を示したが、じっと見つめるだけで、触っていいものだろうかのもやもやな感じを表現しました。 ・ 4、 本当は、白バック紙に赤い花を置いて被写体に遊んでもらおうと考えていました。赤い花は白の空間ではよく目立ち、被写体が惹きたつと思ったからです。 しかし被写体は私が用意した意図的な赤い花ではなく、黒いねじに興味を持ちました。 黒いねじは、撮影中、偶然レフ板のキャスターから外れた留め具です。 被写体は外れた黒いねじをじっと見つめていました。 もしかしたら赤い花より黒いねじのほうが彼が遊ぶかもしれないと考え、前に置きました。 そして黒いねじに興味を持ったが、触っていいのだろうかという左手の親指の曲げた瞬間、被写体らしいと感じシャッターを切りました。 ・ 5、俯瞰で撮影したのも、共に撮影している空間を写真に残すときに、どのようにすれば撮影者の存在も写真に表現できるだろうと考えた時に、撮影者の目線というのが重要です。 つまりアングルで、撮影者の存在を表現しようと思い俯瞰撮影をしました。 ・ 本来、被写体に興味を持ってもらうはずのきれいな赤い花が、偶然にも外れた黒いねじに興味を持たれてしまった。という滑稽な瞬間。 そしてその黒いねじを見つめる被写体の遊びたい。という好奇心の瞬間。その瞬間シャッターを切る撮影者。という共に存在している瞬間。 瞬間的な写真はとても重要だが、その瞬間をいかにどう表現するのかが重要なのである。 すべては被写体の存在が写真の中で惹きたっているかどうかなのであると思う。そのために私がすべきことがたくさんある。

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