フォトジェニックアーカイブPhotogenic Archive

夢であるように

投稿日:2011/1/13

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親子の愛情表現の仕方はそれこそ星の数ほどあるのでしょう。十人十色という言葉があるように、世界にひとつとして同じ家族はいません。そしてそこにどれだけ深い愛情があるかなんて第三者の私には到底理解出来ません。子どもに対する愛情の注ぎ方は自分が親になってみないと本当のところはわからないのかもしれませんし、そうなったとしても永遠にわからないかもしれません。 だけど、このパパが子どもを抱き上げたときの顔にそのすべてが表れていたように感じました。そんな気がしたのです。大好きだ、愛してるという包み隠さない気持ちが私の心を打ち抜きました。 女の子はいつか「お父さんくさい~」とか、「お父さんには関係ないでしょ」などといういわゆる反抗期が来るのかもしれませんが、そのとき彼女がこの写真を見たら…そのとき父親がこの写真を見たら…、きっとお互いがお互いに与え与えられた愛情や思い出を思い出すことができるかもしれません。 雰囲気を良くするためにモノクロ写真にしたのではなく、モノクロでこの写真を表現しようと思ったのは、私が彼らの時間に封をするためです。いつか時が来たら、父親の心にも娘の心にも、今とはまた違う想いでこの頃の色とりどりの気持ちや思い出が蘇ってくれる…そう信じて。 ライフスタジオは今やすごく人気のある写真スタジオです。その人気にあぐらをかかないここで働くすべての人を私は尊敬しています。ですが、私はここで撮るどんなに腕のよいすべてのカメラマンの写真よりも、パパやママが自分の子どもを追いかけ回し、一生懸命撮ったケータイの待ち受け写真などにすら本当はかなうわけないと信じている人間です。 そんな私が出来ることはなんでしょう…。 私は、私のやり方で時を止めようと思いました。モノクロにして、抱き上げる父親の目線に自分を重ねて。二人の時間を暖かく包む光だけをそこに残して…。静かに。そっと。閉じ込めるような想いで…。

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