
もうひとつの命を宿したそれは緩やかな美しいカーブを描き、
一人の女性として、人間として、被写体として
これ以上に無い神秘的な美しさを放っていた。
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それはもうすぐ生まれて来るその子に、
生まれる前から確かに降り注がれていた
沢山の愛情を伝えられますように
未来に残してあげられますようにと
そう切に願った瞬間でもあった。
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自分の体を誰かと共有する唯一の時間。
日に日に大きくなっていくお腹を見ながら抱く、期待と不安を。
そして何より、赤ちゃんの誕生を待遠しく想うこの気持ちを。
強く感じながらシャッターをきってゆく。
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優しく撫でる手も
柔らかな髪の毛も
「動いた」と嬉しそうに緩むその口元も
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彼女は、本当に美しかった。
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