
年をとり、経験を積み、色々な門を開けてきて
大人になった私たちの手のひらには数多いカギがあります。
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いろんな形や色をしている門をあけてきて
なかなか開かない門も簡単にあけられるようにもなります。
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それを世間では妥協だとか
あきらめだとかいうかも知れません。
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彼女は
とっても強い力でパパにしがみついて目もあわせてくれず
固まりただただ大きい涙粒を流していました。
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2回目に訪れる自由が丘。
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挨拶もできず始まった撮影。
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私は彼女をみてどこかの見覚えのある確かにある
この心のカギをひたすら思い出そうとしました。
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おそらく私の心のカギであり、
いつか開けてきたはずのカギ。
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その鍵の形に思いだそうとしたばかりに
その鍵にあった門を忘れてしまいました。
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大人になり、
世の中で生きている上で必要な知恵を得る度に
純粋を忘れてしまう。
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確かに開けたはずなのに
その門を振り返って戻ろうとしたら二度と
開かなくなってしまう。
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大きい体をできるかぎり潜めて
ずっと考えながらフィルターを通して私は見ていました。
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彼女は笑ってました。
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その日初めて、、パパの胸のなかで
ママの暖かい手で、、
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そして
静かにシャッターを押す私がいました。