
何を写真に閉じ込めようとするのか?
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ひとつの家族の中で同じ時を過ごす、こども同士の関係、兄弟。
おにいちゃん、おねえちゃん、おとうと、いもうと、時にはふたごだったり…その関係の中で。
それでも、みんなひとりひとりの人格を持っています。
性格も多少なりとも違うだろうし、年齢によっても動きも感じ方も違ってくる。
好きも嫌いも、ばらばら。
ひとりより、ふたり、人数が増えると子育てもきっと大変で、兄弟写真を撮ることもなかなか難しいと思います。
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兄弟写真を撮る時に、いつも考えます。
きっと、託されていると感じます。
それと同時に思うのは、兄弟写真は本当に難しいということ。
兄弟を同じように集中させ、ポジションを調節し、ポージングや構図を考え、目線をとらえ、いいタイミングを引きだしながらシャッターをきる。
いつもアシスタントの力を借りながら、時にはご家族のみなさんの力を借りながら撮影をしています。
ただ、どうしても難しいのが1歳2歳代の子が入る兄弟写真。
自分の意志が出てきて、動きたい気持ちや遊びたい気持ちが兄弟お互いに出てきてしまい、兄弟写真としての雰囲気がイメージどおりにいかなかったり、ばらばらになってピントや構図にばかり気がとられてしまう時もあります。
そして、年上の子の立場、年下の子の立場。
わたしたちと言葉を通してまだあまり理解し合えない分、
小指の先ほどの、小さなファインダーから見える世界はとても大きく、怖いくらいに彼らの感情が見えてきます。
写真を撮らなければいけないけど、押し付けになってしまっていないだろうか?
この時間は楽しんでもらえてるだろうか?
どう撮影するのがベストなのか?
ずっとずっと考えます。
例え、兄弟が共に「そこ」にいるとしても。
写っても、写らないものもあります。
今、シャッターをきっていいのか?
兄弟の姿を、どうとらえればいいのか?
フレームの中に、何を閉じ込めようとしているのか?
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動き出すこどもたちを前に、遊びたい気持ち全開の子供達を前に、気分がなかなかのらない子供達を前に、
時間が許されるのなら天気のいい日に、野山を駆け回ってもっと自由に撮ってあげたい。
そう思う日もあるけれど、ここにいらっしゃっていただいたお客様へ、わたし達はここで出来る限りの撮影を行い提供することが仕事です。
全神経を懸けて。
この写真では、
ちょこんと座る妹にそっと寄り添うお兄ちゃん、
そんな図をイメージしていましたが、こういう時に限ってお兄ちゃんから離れていってしまう妹の図。
その中で、お兄ちゃんは妹を追って行く。
それは、後ろ姿になって、去って行く背中はぶれてしまうけれど、諦めずにカメラで追い続けることが、わたしに出来ること、見守ることが、アシスタントにできることだったと思います。
どんな表情をしていたかは分からないけれど、離れてしまったふたりの距離が近づいた瞬間、本当に嬉しかった。
あなたたちは、こうして一緒に過ごしてきたのだと、いつまでも語りかけられるように。
またいつか、閉じ込めた時間が思い出として溢れ出てくる日を望んで。