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写真集を作るときに、ひとつのテーマを決めて編集していくように、何かひとつの同じテーマを持って、同じ被写体の写真を撮り続けていると、何かしらの確信が見えてくるようになる。正直、私にはまだそれの確固たる正体こそ掴めてはいないが、掴めていない今だからこそ、探している過程の今だからこそ撮れる写真があるのだと思っている。
私が決めたひとつのテーマ。それは「抱きしめる」ということ。そして、家族である。
優しくて、あたかかくて、そしてなによりも強い絆を感じることができるその行為と、優しくて、あたたかくて、なによりも強くあって欲しいと願う「家族」の絆。「抱きしめてください」の一言で、それぞれの家族の形を表現していきたい。
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抱きしめるという行為を、家族全員にしてもらう。
上の写真にはママが赤ちゃんを守って、兄貴がママを守って、パパが家族を守る。そんな家族のあたたかく、強い関係性が写っている。数年経って、下の子がもう少し大きくなったら、座る向きを変えてママを抱きしめて欲しいし、きっと成長した兄貴も抱きしめる力具合や気持ちで「ママを守る」という意味が今と少し変わってくるのだろう。
そしてそんな子供たちを前に、両親はどんな表情をするのだろうか。
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抱きしめると一番近くなる。
だから、ただ抱きしめてもらう。
家族には、一番近くにいて欲しいと願っている。
理由はそれだけである。
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