
彼女は普段、メガネをかけているのです。
メガネをかけたまだあどけない彼女に、
私がしてあげられることは何だったのでしょうか。
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このくらいの年齢で、
メガネをかけなければ周りにあるものを目にすることができないというのは、
とても大変なことでしょう。
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だけど彼女は、
かわいい緑色のカエルのメガネケースに
素敵な色のフレームのメガネを何個か持ってきていて、
撮影中に何度かメガネを取り替えました。
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そのうちの何cutかはメガネをはずして撮影をしたりもしました。
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だけど私はあとで振り返って、
余計なことをしたのではないかなと思ったのです。
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メガネをかけていた時の彼女の方が、
私は、
彼女にしかない秘めた何かを感じたのです。
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とてもきれいな色をした彼女のメガネは、
彼女を守り、彼女に世界を作り、彼女に美しいものを見せてくれる、
なくてはならない身体の一部のようなものなのでしょう。
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そして、
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時には彼女の手の変わりになり、
彼女を世界にいざなうものに、
時には彼女の耳の変わりになり、
彼女に何かを伝え、
時には彼女の足になり、
彼女を遠くの世界に導いてくれる、
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そんな、かけがえのないものになるのでしょう。
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そんな大切なものを、
私は簡単に「はずしてみよう」と提案し、
撮影を進めたのです。
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彼女が、これから先も、
メガネをお洒落の一部に取り込んで、
外の世界を闊歩していくことを心から望むのならば、
この場面でもメガネはやっぱり必要不可欠なものだったのかもしれません。
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あとになってそれを少し後悔した気持ちになりました。
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もしかしたら、
ときには彼女が目が悪いことをコンプレックスに感じてしまうことがあるかもしれませんが、
そんな必要はないんだよと、
この一枚の写真に思いを込めて願うのならば、
私の決断や判断は甘かったように感じます。
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メガネをはずし、よく周りの見えない世界の中で、
彼女は彼女の長く伸びた髪を触り、
何を思ったのでしょうか・・・