フォトジェニックアーカイブPhotogenic Archive

開拓

投稿日:2011/7/31

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. 結局写真は人間の目で実際に見る世界には勝てないとずっと思っていた。 だからこそ、何か美しい景色や被写体を見たときに「ああ、いま自分の目にカメラが付いていたら」と思うこともしばしばあったように思う。だけど今は、写真特有の世界に魅力と広がりを感じている。 . 青山店は、狭いし部屋数も少ないうえに、ずっといるからつい「マンネリ」という名のつまらない罠に囚われそうにもなるけれど、最近広がりとして感じているのは、そんな狭く限られた青山店の無限性である。 例えば 自分が体をくねらせて隙間に入ってみるだけで、ファインダー越しに見える世界は変わるし、ここにあった台を前に持ってくるだけで奥行きが変わったり、光の当たる面積も角度も変わってくる。そして、何よりも青山店でのバリエーションを広げるためには、85mm短焦点や広角を駆使し、場所によって被写体によってレンズやアングルを変えて同じ場所でもカメラマンの技術によって、表情を変えていくことが可能だし、なによりもそれが必要不可欠なのだ。 だから、私の7月の写真目標は「開拓」と「脱却」であった。 . そうやって青山店にはまだまだ可能性がたくさんあり、狭いからこそそれを開拓していく楽しさがあります。 . この写真も、例に漏れず「開拓」の意を持って撮影したものである。 普段撮っている場所から少し自分の位置をずらし、普段使っているレンズを外し、85mmに変え、被写界深度を浅くし前にある小物類を存分にぼかした。光は被写体の後ろのフラワーカフェの窓から入る自然光のみ。そして、フレーミングは全身を画面の中にいれるという、圧縮された大胆なカットである。全てを決めて、シャッターを切る瞬間。ファインダー越しに見る世界は、いつも目で見ていた世界とは違ったものでした。 . 自らの操作の上で、見える世界が変化する楽しさを知ったとき。 この職業の奥深さを改めて感じることが出来るような気がする。 楽しい。ただ、それだけです。 . .

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