フォトジェニックアーカイブPhotogenic Archive

誇張するなら希望がいい

投稿日:2011/9/29

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広角写真とは「希望」だ。

あるカメラマンと話をしていて、「どんなとき、広角を使いますか?」と聞かれたとき、まっさきにそれが浮かんだ。私は希望を表現したいとき広角レンズを使うことが多い。

広角で撮影すると、写真の形成要素が各々誇張される。

それは、被写体の心情であったり、体の部位のダイナミックさであったり、

秩序的な配列を含んだインテリアの消失点から広がる世界観であったり。

被写体の屈託のない笑顔が、反った体が、広角レンズでと相俟って、独特の世界観を作ってくれるから面白い。

ただそれと同時に、望遠と違って広角の場合は背景も大きな構成要素となるため

写るインテリアを整理計算しなければならなくなる。

だから被写体の瞬間的に発揮される一瞬の表情、ひらめきを逃さない目と

それをとらえながらも、同時に多く周りのことを計算する左脳的思考も必要となってくるように思う。

でも、色々難しいことを考えてみるけれど、結局行き着くところは

この子の楽しそうな瞬間だとか、何かを持ってひらめいて嬉しそうにしている表情だとか

何かを理解した上で生まれる行為、思考・・・

短い撮影時間の中でも確かに成長してゆく、そんな子どもたち特有の瞬間が撮れたら本望だなあと思う。

 

 

初めてカメラを持った日に、カメラの使い方を覚えた。

何が撮りたい?と聞いたら、ちょっと上を向いて考えた後に、「ママ」とつぶやいた。

だから、これはカメラに興味をもった表情。

だからこれは、ママのことを考えている表情。

 

1歳のころ、青山店に来た時よりたくさん成長した。

1時間前、私と初めて会った時より、確かに成長した。

伸びるなら、上へ。進むなら前へ。

こどもは希望がいっぱいだ。

誇張するなら、希望がいい。

だから、私は広角で撮った。

 

 

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