フォトジェニックアーカイブPhotogenic Archive

私の後ろにいる存在

投稿日:2011/10/30

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私は左側の眉毛の上に傷がある。

いつけがしたか覚えることができない時にできた傷だ。

昔から父と母がずっとその傷を触りながら、

「これさえなかったら美人だったのに、、、」

と口癖のようによく言ったりした。

話によるとちょうど歩き始めたごろ、喜びながら一人で歩いていた途中歩き方が不安定で転げたそうだ。

後ろにはちゃんと父と母がいたが、タイミングが合わなくて助けてあげなかったようだ。

守ってくれなかったことが切なかったか、20年以上を同じ事を繰り返して言ったりする。

 

そして、面白いことにあの日の写真がアルバムに残っている。

写真には1才半ごろの小さい私が前へ歩いていて後ろには母が妹が乗っているベビーカーの隣で微笑みながら私を見守っている。

その写真を撮ったのは確かに父なんだろう、、、

あの日から私の左側の眉毛の上には傷がある。

 

元気よく歩いている私を撮った後、一生美人になれない傷を持つようになったが、

それでも、私はその写真がとても好きだった。

今より若くて純粋な母の姿が好きで、可愛らしく歩いていた私の歴史が好きで、

何よりも後ろから私のことを愛をこめて見守っている風景が大好きだ。

 

歩いていても、走っていても、転げてしまっても、

後ろでちゃんと見守ってくれながら応援する存在がいるということ。

うまく歩くのが慣れていないため転げてしまって泣きながら戻ってきても

「大丈夫!もう一回やってみたらいい。後ろでこのまま守っているから行きたいところに行って見なさい!」

と励ましてくれる存在がいるということ。

とても心強い。

 

元気いっぱいの1才の赤ちゃん。

おもちゃが多いスタジオに来て興奮している赤ちゃんを父と母は微笑ましく見守ってくれた。

結婚して初めて二人をつなぐ子供を生んで子育てにまだなれていない若い父と母、

そして、その生き生きしている愛の中でスタジオを歩き回る赤ちゃん。

座るのが嫌いだろうか、

歩くのが楽しいだろうか、

もしくは自分がどこに行っても後ろでちゃんと見守ってくれる存在がいるということを知っているだろうか、

とても不安定に歩いている赤ちゃんの笑顔には何とも言えない安心感が溢れている。

 

転げても、失敗しても大丈夫!

ちゃんと後ろであなたを守っている人がいるから、、、

どんな姿で写っても愛らしく思うカタモチがいるから、、、

 

父が撮った母と私の写真のように、、、

この子にもこの1枚がいつか寂しくなった時、心強い気持ちを伝える写真になることを、、、

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