フォトジェニックアーカイブPhotogenic Archive
色の整理
投稿日:2011/10/30
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誤解を恐れず正直に言うならば、私は被写体が纏う服についてはとかく拘りがない。なぜならコーディネーターが用意してくれた服を纏った被写体を見たときの、あの新鮮な第一印象の瞬間が好きだからだ。
その瞬間、どんなイメージで撮影しようだとか、背景をどこにしようだとか、ここから光を当ててみようかだとか、こんなコメントがけをしてみようだとか、そんな事を考え撮影心がワクワクしてくる。
この子も例に漏れずそうだった。
扉を開けた瞬間に、撮影心が湧き出た。ティアラでもお花でもなく、ドレスにハットを被った彼女が、たまたまピンクの壁の前に立っていた。
自分の中でドレスはだいたいいつも撮る所が決まっていたけれど、その瞬間、コーディネートも背景も、一見アンバランスに見える今この瞬間を、この背景のさし色を利用して捉えることにした。
自らの手で撮影における選択の自由を狭めたとき、同時に、自分のバリエーションが増える瞬間がある。そうやって、自らを追い込むことにより生まれるものに集中しようとしていた。
今回は、アンバランスなものを1枚の画としてバランス良く共存させるために、カメラマンとして何をすべきか瞬時に判断することにした。
色の整理。これが私が出した答えだった。
例えば被写体をより魅力的に、より集中的に見せたいと思ったとき。
方法として、被写体に色味のあるコーディネートをすることがある。
だか、今回はその逆で、背景に色味を持ってくることによって、被写体を浮きだたせることにした。黒とピンクの世界。あとは、画の中の被写体の配置と、余白の整理である。そして余分なものは写さない。そうやってデザインをするような感覚でファインダーを覗き、ひとつひとつ消化していった。
色味の無い服を着た彼女に、青山店の狭いピンクの壁をスポットライトのように当てる。
この壁が広いものでなくて良かった。適当な差し色になってくれたからだ。
そして、前ボケに柱と壁を入れた。黒とピンクで色を整理したかったので、前ボケに余計な光は当てずに適度なグラデーションを使った。
———出来上がった写真を見る。
すると、彼女のほっぺがピンクで、顔が本当に可愛くて。
結局それにばかり目がいく自分・・・。
色々小難しいこと考えたけれど、なんか、もう、行き着く所は
そうゆう感情なんです。
あーーーかわいかったあぁぁ。
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