フォトジェニックアーカイブPhotogenic Archive
家族写真、そして青山店
投稿日:2011/10/31
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青山店に来る家族の中にはフォーマルな雰囲気の家族が多い。
家族みんなががっちりスーツを着て重い皮靴を履いてせっかくの特別な記念日を祝うためにしっかりすべてを準備してくる。
そして、黒いスーツと重い皮靴と共に家族撮影への緊張感も持ってくる。
明るすぎる真っ白の部屋に家族みんなが背筋をまっすぐして立ってカメラを見ていると青山店の白い部屋の中の緊張感は最高上になる。
そこに着物を着た主役である3歳の女の子が最後に入る。
そして、みんなは笑わない。
笑いたくても笑うことができない。
一生残る写真だという意識がみんなの心に入っているからカメラマンとアシスタントは必死で笑わせて
家族は頑張って5分ほど笑顔を作る。
そして、形式的な家族撮影は終わる。
そうやって堅い家族撮影を何回か経験してみると、いつの間にかスタッフたちの中でも家族撮影のイメージが固まってしまう。
もし、堅い気持ちを持っていない家族が来ても癖のように身に付いた家族撮影のイメージから脱皮することはとても難しい。
緊張感が新しい緊張感を生んで、堅い緊張感に慣れてからはただ撮影だけではなく、普通の業務にも影響を与える。
ただの家族だけではなく、仲間に対しても堅くなって緊張するようになる。
矛盾が繰り返されていつの間にかそれは私たちの文化になってしまう。
10月青山店のスタッフみんなが集まって撮影と写真に関する会議をした。
そして、カジュアル化っていう主題が出て来た。
カジュアル化は何だろう、、、
家族の洋服がスーツからカジュアルに変わるのがカジュアルかなのか、、、
ポップな音楽を流せるのがカジュアルかなのか、、、
まっすぐ立たせるポーズからもっとリラックスできるポーズに変えるのがカジュアルかなのか、、、
もちろんそれも必要な条件になるだろう。
しかし、私たちの中に深く固まっている根本的な意識が変わらないとそういう努力もいつかはただの形式的で瞬間的な変化になってしまうはずだ。
青山店に来る家族家族が普段の笑顔を隠せずにもっと幸せを思い切り感じるためには何が必要なんだろう、、、
彼らの中に隠れている幸せを引き出して写真として記録する私たちは何が必要なんだろう、、、
どうしても変わらないことが私の心深く存在している。
真心は真心を引き出して、それが通じた瞬間新しく生まれる価値はものすごい力を発散する。
人間ならみんな感覚としては覚えているはずだが、自分の人生や関係に適切に適用するのが難しい。
青山店に明るくて素直な家族が来た。
そして、私とセリンはこの家族に対する真心を伝える。
嬉しいことに、この家族もそういう私たちの気持ちを素直に受け入れてくれる。
時間をかけてお互いの心の中に深く隠れている真心を引き出して、それがうまく通じた瞬間作られる新しい価値。
その価値が生まれる瞬間は、技術も考えずにただ気持ちでシャッターを切る。
青山店はこれからどうやって変化していくべきなのか。
青山店の写真はどうやってもっと成長するべきなのか。
毎日出会う家族たちと仲間に対する重い緊張感や堅い形式から脱皮することから始まるのではないだろうか。
家族撮影のカジュアル化のポイントは洋服ではない。
音楽でもない。
ポーズでもない。
まず、自分の肩を押している重いモノを下ろして相手の心の中に固まっている壁を崩すのが優先順位ではないだろうか。
この1枚の家族写真を見るたびに真心が通じた大切な瞬間が思い出して、とても幸せになる。
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