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オンマ

投稿日:2011/11/30

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韓国では母親をオンマって呼ぶ。

知り合いやお客様の中には在日韓国人家族がいる。

国籍は韓国人だけど、日本で生まれ日本で育ったので、当たり前に彼らの言葉は日本語だ。

しかし、母親を呼ぶ時はみんな同じようにオンマっていう韓国語を使っていた。

オンマっていう言葉が好きな私は何もないその事実が嬉しかったりした。

 

人間にとってオンマという存在は何だろうか、、、

生まれる前から体も精神も繋がっていて元々は一つだったはずだ。

そして、オンマを通して私たちは人生初めての人間関係を経験すると思う。

 

私はママ子だった。

妹はもっとひどかった。

それがいやで認めたくなくても私たち姉妹に母親が及ぼした影響はあんまりにも大きくて認めるしかない。

 

愛して愛されること、

人を信じること、

学ぶこと、

譲ること、

自由なこと、

感情を表現すること、

 

人生のすべての価値を母親から学んだ気がする。

 

青山店に静かで素朴な家族が来た。

兄妹は二人とも始めての場所と人に警戒心を持っていた。

母の後ろに隠れて疑う目で私を見るのがまるで「ママ以外には信じれない、、、」と伝えるようだった。

撮影が少し心配だったが、人の心を開くことに真実なセリンがそばにいたし、彼らを守っている母親の笑顔は何だか信頼できる力を持っていたので安心して撮影を始めた。

三人家族の撮影をするため、白背景のところに立って母親のポーズを説明した。

お母さんは少し照れながら白背景に立った。

母親から離れた子供たちはとても不安な顔をしていた。

「おいで!」

兄が母のそばに行く。

そして母は息子が緊張しないようにギューと抱いてくれた。

固かった兄の顔にかすかに笑顔が広がる。

それを見た妹が急いで母親のところに走ってきた。

両方の腕で二人を抱いたお母さんは撮影だということに気が付いたかそのままカメラを見る。

髪の毛がおりてきて背中が曲がっている。

足はきれいにそろえていない。

もし私がアシスタントだったら、いきなり入って行って母の髪の毛を整えたり姿勢を直したり足をそろえてくださいと言ったはずだ。

でも、カメラマンである私はそうしたくない。

きれいな母より母親らしい母が好きだから、、、

おしゃれな母より愛があふれる母が好きだから、、、

 

カメラで三人家族を眺めていたら母と妹が思い出した。

いつか博物館の前で同じような写真を撮った記憶がある。

黄色い幼稚園の園服を着ている私と妹を母は両方の腕で抱いて幸せに笑っていた。

愛するオンマ、、、

この1枚を見ていると今まで私と妹を守ってくれたオンマに会いたくなる。

オンマ、ありがとう。

 

 

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