フォトジェニックアーカイブPhotogenic Archive
証拠写真
投稿日:2011/11/30
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去年だった。
撮影をしている途中、ママさんがバナナを持ってきた。
「本当に申し訳ないですが、もしできるならうちの子がバナナを食べている姿を撮ってもらえるんですか。」
「バナナですか??」
「はい、子供がバナナが大好きで、それを食べている姿を残しておきたいです。」
「あぁ、分かりました。カメラマンに伝えます。」
そして、次のシーンで子供にバナナを持たせそれを美味しく食べている姿をカメラマンは自然に撮った。
出来上がった写真を見ながらパパさんとママさんはとても喜んでくれた。
特にバナナを食べている写真を見て「カワイイ~~!!」と言いながら興奮した。
「バナナが好きですか?」
「大好きなんですよ!!
好きすぎてバナナをあげるとめっちゃ笑うんですよ~hh
それが可愛くて是非その姿を証拠で残したいな~と思ったけど、本当に撮れてよかったです^^ ありがとうございます。」
私はあの時初めて分かるようになった。
子供のこんなに小さいことにも親は意味を与えるということを、、、
子供っていうのはそこまで大切な存在だということを、、、
そして私たちが撮る写真は子供たちの人生の証拠になるということを、、、
あの時から撮影途中コンディションが崩れた子供におやつでバナナを食べさせている姿を見ると「あ!証拠を残してあげないと、、、」と思うようになる。
とても愛らしい赤ちゃんが青山店に来た。
感情表現がはっきりで、楽しい時にはよく笑って、いやな時にはギャーと声を出しながら大泣きをする。
撮影をするには難しかったが、純粋に感情を表すことがとても可愛かった。
そばで見守っていたパパさんとママさんはとても静かで、あんまり感情を表現しなさそうな雰囲気だったが、娘のことを見守る時には嬉しい気持ちを隠すことができなかった。
しかし、最初家族写真を撮って分類室で写真をチェックしながら少し寂しい気持ちを感じた。
パパさんとママさんの表情が緊張感で固まっていた為だ。
普段三人でいる時はどういう姿をするんだろう、、、
子供を見る時には自然に笑うのに、、、
何だかすっきりしない気持ちを持ったまま家族撮影が終わり、子供ソロの撮影が始まった。
よく笑ったり、よく泣いたりする娘を見守りながら最後の手段としてバナナを持ってきた。
「バナナだ、、、」
いきなりバナナに関するある日の記憶が浮かんできた。
そしてパパさんとママさんを白背景へ柔道してそこで食べさせることを進めた。
大好きなバナナを食べている赤ちゃんはママとパパを見ながら満足感のあふれる表情で笑う。
それを見ているパパさんとママさんも安心して一緒に微笑む。
カメラで三人家族を眺めながら何だかほっとする気持ちを感じる。
それからは普段三人でいる時の姿を何となく想像することができた。
そして私も満足感のあふれる表情で分類室に戻ってきた。
証拠を残した。
「愛されながら育てられた証拠」
あ、、、世の中にバナナがあってよかった!
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