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生まれた順序

投稿日:2011/11/30

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私には男兄弟が居ない。妹も弟も居ない。

 

20数年前、既に2人の姉妹が生まれ、どうしても男の子が欲しかった我が家に生まれたのは、女の私だった。

そうして三姉妹になった我が家。三姉妹の末っ子になった私。

もし、私が男の子に生まれていたら、絶対にここで写真を撮っていなかっただろうし、

男でも女でも、私が一番最初に長女として生まれていたとしても、

歩む人生はまったく別の方向を向いていたと思う。

 

 

生まれた順序っておもしろい。

 

たまたまその順番で生まれてきただけなのに、たまたま女だったってだけなのに

まるでそれが前から決まっていたかのように

それぞれが当たり前のように決められた役割を果たし、

同じ血が通った兄弟なのに、性格が様々で。

きっと、生まれた順番がひとつでも違ったら、この写真も全然違うものになったんだろう。

そう思うと、私がこの家族に出会って、写真として表現することができたことにも、

その兄妹の生まれてきた順序も、その家族のその必然性にも感銘を覚える。

 

 

この7歳の長男は、一番下の妹が生まれてすぐ病院へ駆けつけたらしい。

ママを守るために、生まれたばかりの妹を守るために。駆けつけたらしい。

そのエピソードを聞いて、私は「良い経験をしてるね」と若干7歳のこの長男の頭を撫でながら言った。

だって私には妹も弟も居ないから、そんな経験は一生出来ないし

病院に駆けつける、その時の心情とか

生まれたばかりの妹に出会ったときの、7歳の少年の小さな身体から溢れ出るであろう「妹を守る」という包容力は計り知れない。

その経験は、彼の人生において大きな糧となることは間違いない。

そんな限られた者にしか出来ない素晴らしい経験を、彼はしていると思った。

 

次男もまた、同じであった。

自分が5歳の七五三のメイン撮影をしに来たのに、

撮影中何度も何度も妹のところにいっては「かわいい かわいい」と頭を撫でていた。

 

 

そして、妹の頭を撫でる次男の頭を、また長男が撫でていた。

私は「繋がってるなぁ」と思った。

小さな包容力をまた小さな包容力が包んでいた。なんだか嬉しかった。

この妹に、この次男と長男が居て

この次男に、この妹と長男が居て、

この長男に、この妹と次男が居てくれて、本当に良かったと思った。

 

でも、その光景を撮ろうとカメラを構える私に気づいた長男が、ついに次男をパンチしてしまった!

気づかれてしまうほど、その光景をおさめることに鼻息が荒かった自分と

その空間に自らの存在を溶け込ませられなかった自分に幻滅したけれど、

長男が次男を撫で、次男が妹を撫でるような、

これはそんな優しい写真じゃないかも知れないけれど、

ママもパパも妹も次男も長男も。それぞれのキャラクターが出ている

誰一人が欠けても成り立たない必然性を帯びた、

そんなこの写真が、そんな家族が

私は好きだ。

 

 

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