フォトジェニックアーカイブPhotogenic Archive

引き出す為に

投稿日:2011/12/20

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本当は5歳の男の子に『傘』を渡しちゃいけない事になっているのだけれど

彼を見ていたら、傘が似合うような気がして、思いついて渡してしまった。

 

男の子特有の、優しさや恥ずかしさを隠してふざける行動。

思ってもみない動きをするから楽しくて、そんな男の子の撮影は楽しいものなのだけれど

七五三だとそうはいかない。

やっぱりある程度きちんとした立ち姿を撮影しなくては、と苦労することも多い。

 

着物でふざけて足を開いたり座り込んだりする彼を眺めているうちに、赤い傘を持った姿が浮かんだ。

赤と黒のコントラストは彼にあう気がしたし、なにより『照れ』というバリアを少し緩められるような気がした。

 

傘を渡すと彼はそれまでの笑顔をふと崩し、少し膨れっ面で俯いた。

どきりとして、反射的にシャッターを切った。

顔は見えないし、笑ってもいないのだけれど、そこにそれまでの彼と違う一面を見たから。

それが彼の本質の一つであるような気がしたから。

 

 

笑顔も怒った顔も、カメラを睨んだ顔も、その時のその子。

でも気を抜いた何気ない瞬間を撮りたいんだ。できれば美しく。

その為にできることが幾つもあるのかもしれない。

そう気づいた1枚。

 

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