フォトジェニックアーカイブPhotogenic Archive
自由を感じた瞬間
投稿日:2012/1/14
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自然な写真をご希望されることが多いですが、年齢が大きくなればなるほどポージングをつけなければ表情やしぐさを引き出すことは難しくなっていきます。
しかしうまくポーズを出来る子とそうでない子がいます。
ポーズをつけても自然に見える子ならそのままで大丈夫ですが、もしそうでなかったら。
今までもいろいろと頭を悩ませました。
この子はポーズも上手にできるし、とてもお利口さんでした。
でもあまりにも良い子なのでふと、子どもの無邪気さを感じたくなって、
「壁につかまって転ばないようにして、思いっきりキックしてみよう!!」
そう話しました。
もちろん上手に足を上げてとても可愛い姿を撮らせてくれました。
お見せするお写真を選び、モニターの前に一度チェックをするのですが、その時目に留まったのはキックの後のこの瞬間。
撮影の後、いろいろと考えを巡らせてその理由がわかりました。
この一枚に感じたのは「自由」でした。
僕の指示を的確にこなした後、転ばないようにこの子自身がとったバランス。
僕の指示から解放された後のこの子の無意識が見せた姿。
僕自身もポーズを指示するという不自由さを与える行為と自然な写真との間での迷いから解放されたように感じました。
何もしないでただ可愛い瞬間を待つだけではカメラマンの責務は果たせません。
かといって全てを決められた枠にはめ込んでしまうと自然な雰囲気やその子の個性をつぶしてしまう。
その両極の塩梅をコントロールする力がカメラマンに必要な技術だと気付かせてくれた一枚でした。
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