フォトジェニックアーカイブPhotogenic Archive
きみの勲章
投稿日:2012/2/3
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裸になったとき、息をのんだ。彼の体には、大きな大きな手術痕があった。私の体にあっても、それはそれは大きな傷だ。このような場合、私はどうしようか、と思う。イレギュラーなことに対して、人間が戸惑う感情がそのまま顔を出した。私は、最初、お腹に布をかけて・・・そして彼の傷を隠す方法と、うつ伏せにして家族写真を撮影する方法の二つを考えた。
しかし、私はその次の瞬間、自分が恥ずかしくなった。
体の傷は、彼にとって、一つのマイナス要素でもないのだ。この大変な手術を終えて、そして無事迎えた大切な今日を裸で撮影しようと決められたご両親とおばあちゃんのお気持ちを全く察していなかった。
私の心は決まった。
この傷を、大切に大切に撮影しよう、と。
まずは、仰向け、続いてうつぶせ、ようやくできるようなもたれたお座り、そして最後は決めていた。
彼の今日を支えたのは、きっとパパでありママであり、おばあちゃんであり、周囲の皆と、そして担当のドクターたちと、何より彼の勇気だ。
お父さんに寝てもらう。
お母さんを、腕枕してもらった。お母さんは優しい顔でそこにすっぽりおさまった。
真ん中に、彼に寝てもらった。
上から、カメラはさかさまで、彼にピントを合わせた。
澄んだ瞳で私を見て、笑ってくれる彼に胸が熱くなった。
お腹の上に、そっとつながれた夫婦の手が、大切な命なんだとおしえてくれる。
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