
彼の撮影は、予定では自分の担当する撮影ではなかった。
仕事に私情を持ち込むのはナンセンスだと分かってはいるけれど、
どうしても撮影したいという気持ちを抑えられず代わってもらった。
自分よりうんと小さいのに、
自分と同じように大切な人との永遠の別れを経た彼。
未だに私も寂しくなったり悲しくなったりするけれど、
目の前の小さな彼が、
事実を理解し受け止めていることに驚かされた。
一人の人間として尊敬の念すら抱いた。
彼の名前には、
甲子園への願いが込められているのだと伺った。
彼の真っ直ぐな瞳を、
小さいながらにも真の強さを秘めたその瞳を収めたくて、
そっと寄り添った。
ある共鳴を感じた瞬間、シャッターを切った。
彼ならきっと
ママの、
そしてパパの…
願いを叶えてくれるのではないかと心の底から思った。
生きてこその喜びを、
噛締めながら真っ直ぐ歩んでいってほしい。