フォトジェニックアーカイブPhotogenic Archive

Many Classic Moments

投稿日:2012/2/26

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兄弟写真を撮るときに私が追求しているのは、「幸せをどこまで表現できるか」ということです。

もちろん場面場面によって、またその子たちの年齢や関係性にもよるので、

重要視している要素はそれひとつだけではないのですが、

私の中で一番のキーポイントになっているのは間違いありません。

 

私たちが願うことは、撮影している子どもたちも楽しく、

ご両親がそこから幸せを感じて笑顔になってもらうことです。

そして、記録写真としての美しさをも兼ね備えた兄弟の姿を追い求めていく中で、

私はカメラマンとしての立場から自分の中でどういった表現方法をしていけばいいのか

毎回模索しているのです。

 

 

今回は何もない空間でふたりが一つになるようなイメージを考えていました。

 

 

インテリアがもたらすライフスタジオの素晴らしい写真たちの中で、

私が結局一番好きなのがこの白い空間です。

何もないところから何かを作り出すことは難しくもあり楽しくもあります。

1000ピースのパズルを「よし!はじめるぞ!」というときのようなワクワクした気持ちになります。

 

 

この写真のインテリアはただの白い床です。

正確には白い床の上に白い布団を敷きました。

彼らが動くたびに白い布団がよれて線が出来ました。

それはまるで、目尻に出来る笑いじわのように、くっきりと深く、私の頭の中に残ったのです。

そしてそれがとてもいいなと思ったのです。直す必要すらないと思いました。

いっそのこともっと深く刻まれてしまえばいいとさえ思いました。

カラフルな洋服と、笑い方は違うけれど似たような眼をした兄と弟。そのふたり。

彼らには手を繋いでもらい、私たちは少し上から、

彼らの内側からようやく出てきた優しい笑顔やあたたかく元気なエネルギー、

照れて出せずにいた心、

一本の紐をほどくような、またはその紐を結ぶような思いで、

この兄弟のあるがままの姿を受け止めながら、

繋いだ手で作った小さな輪の中で笑う、彼らのひょうきんで生き生きとした表情を見つめていました。

 

 

私はこの写真を何度見ても微笑ましく思います。

それは、作られたものではない、

生きる人を写すということの素晴らしさと愛しさをこの写真から感じることが出来るからです。

 

 

シャッタースピード 1/100  絞り f/6.4  露出ISO640  レンズ45mm  自動ホワイトバランス

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