フォトジェニックアーカイブPhotogenic Archive

キャベツ 

投稿日:2012/4/29

234 0

 

何も書いていないノートと、色とりどりのクレヨン。

君はそこからみどり色を一本だけ握りしめ、

ぐるぐるぐると絵を描いた。

 

一体なにを描いたんだろう。

 

自分の名前?ママの顔?パパの顔?

それなーにと聞くと、一言

 

 

「キャベツ!」

 

 

と言った。

キャベツ。なぜキャベツ。

 

きっと、君はキャベツを描こうと決めてみどりを取った訳ではなくて

キャベツが食べたくなってキャベツを描いたんじゃなくて

トマトでもかぼちゃでも玉ねぎでもない。

それが他のなんでもなくキャベツなのは、

君が本能的に握りしめたそれで、本能的にしたぐるぐるで

私が声をかけたがために止まってしまった

その小さな芸術家の小さな手が生んだ

そのぐるぐるの大きさと形と、そして色が。

 

はじめから決めていたわけではない。

型を作ってそれにはめて動いたわけでもない。

つまらない見本なんてないし、

誰に言われて描いたわけでもない。

 

自分が選んだその色で、自分が掴んだその色で

自由に生んだ。

それら全てに名前を付けるのだとしたら

それが君にとっての「キャベツ」だったんだよね。

 

 

 

この記事をシェアする