フォトジェニックアーカイブPhotogenic Archive

瞬間を感じあう

投稿日:2012/4/30

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3人家族が青山店に来た。

カーウンセーラーを終えたセリンが分類室に入ってきて相談した内容を伝える。

家族写真を中心として撮影するのがご希望だそうだ。

どういう流れで撮影をしたらいいのか、ポーズはどうしたらいいのか、お父さんとお母さんはどんな人だろうか、赤ちゃんのコンディションはどうだろうか、

まだ何も始まっていないのに考えで頭がいっぱいだ。

 

カメラを持って3人家族が待っている部屋に入る。

目が丸くて瞳がキラキラ輝いている赤ちゃんがいた。

母親は撮影が楽しそうに笑っているけど、その笑顔には撮影への緊張感が漂っている。

 

「まずママと子供二人のショットから撮ります」

堅い言葉と固まっている笑顔で説明して撮影を始める。

いつもの通り立たせていつもの通りあやしながらいつもの通り撮ろうとする癖がそろそろ姿を現せる。

 

だが、気がついたら赤ちゃんを抱っこして微笑んでいた母親が涙をながしていた。

「すみません、、、」

愛する息子を抱っこしたまま出てくる涙をふいている母親

 

「だいじょうぶですか」

「すみません、、、あんまりにも待っていた子なので、、、」

母親の素直な一言に頭の中にいっぱいだった考えが消えて感じられることに集中して写真を撮る。

 

感じられることを素直に表現する母親

その瞬間を感じあいながら笑顔のように涙のように写真を撮っている自分

 

いい写真とは何だろう、、、

人によっては様々な基準と信念があると思うが、私は切り取った瞬間が蘇るように感じられる写真が好きだ。

そして、そういう写真でもどせない瞬間を永遠に覚えようとする。

 

「本当にあなたに会いたかったよ、、、」

と涙を流しながら何も知らない息子にささやいていた母親、

彼らとの瞬間に素直に感じられたことをずっと覚えておきたい。

 

 

 

 

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