フォトジェニックアーカイブPhotogenic Archive
その一点に向かって
投稿日:2012/6/28
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最近、いい写真が撮れた時は大体、シャッターを切る前からその訪れを確信しているように思う。
この時もそうだった。
写真はシャッターを切る瞬間だけで生まれるものではなくて、それ以前の人生の中で感じ取ってきた感覚や、培われた感性、技術、知識が事前の準備として必要であり、無意識のうちに反映されるものだと思う。
あらゆる条件、状況が一点に交わるのは文字通り一瞬しかないのだから。
この一枚を撮る以前にある程度の構図は完成していた。
しかし使える機材の関係や、被写体の身長、コンディション、許される時間など、その条件が揃うことはほとんどなく、しばらくの間、アイデアだけに留まっていた一枚だ。
もちろん条件を無理やり、誤魔化したとしても撮れない事は分かり切っているので、挑戦すらしてこなかったが、この日のこの撮影では全てが揃い、
そして、あたかも当たり前のようにこの一枚を撮る為の動きが出来た。
一つ予想外だったことは、この子がモデルとして、僕が思い描いていたイメージを超える画に出来たほど優秀だったこと。
以前にもどこかで書いたけれども、全て計画通り、設計図通りに出来上がったものには、物足りなさを感じる。
ある一定の水準を設定し、それを満たした時に、思い描いた価値を創造することはできる。
しかし、そこに不確定要素が入ることによって、良くも悪くも計画変更をせざるを得ない。
それが子供の撮影の難しい所であり、楽しみでもある。
この写真を撮った時には全てがこの一枚の為に巡り合ったように感じた。
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