フォトジェニックアーカイブPhotogenic Archive

距離

投稿日:2012/7/29

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Life Studio No,2 URAYASU Photo by Reiri, Coodinator Yuki

 

インテリア工事をしたこの部屋は、かつては浦安店のモニタールームだった。

まだ、サブモニタールームとしての機能は残してあるものの、ほぼ撮影メインで行うべく生まれ変わったこの部屋で、あるいは他の新しいインテリアの中で、7月の私は撮り方を模索していた。自分なりに。

 

彼は私にとって、特別な少年となった。

撮影の始まる前は、無邪気に遊びまわっていて、困り顔のママさんが、『昨日も泣くまで怒られてたんですよ~』と話してくれた。こりゃまずい、と緊張感を新たにしたのを覚えている。

だが、彼は、撮影が始まると別人のように数々のポージングをこなしてくれた。

ひょっとして、こんなのも出来ちゃうのだろうか?じゃあ、こんなこともしてくれちゃったりするのか!?

だんだん欲が出てきたカメラマンの要求を、彼はとびっきりの笑顔でさらりとこなしてくれた。そして、くるくるとその表情を変えていった。

 

この部屋で撮ろうと思った時、望遠レンズをつけた重たいカメラを持って、私は外に出た。

生まれ変わったこの部屋で、今まで撮れなかった位置から彼の姿を狙ってみたくて。

ファインダー越しの少年は、望遠レンズの効果でぐっと距離が縮まって見えるけれど、外にいる私の声が届き辛くなる程度には遠い位置に立っている。彼は眩しげに外にいる私を見やり、自分で足のポージングをして、私がシャッターを切るのを待っていた。

手の届かないその距離を、コーディネーターのYukiさんのサポートと、少年のまっすぐな視線が埋めてくれた。

 

この時の75カットは、間違いなく、彼と、Yukiさんと、穏やかに撮影を見守ってくれていた彼のパパとママのおかげだ。

撮影が終わった後、彼は(ママ曰く)『いつも通り』に戻っていた。

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