フォトジェニックアーカイブPhotogenic Archive

隙間

投稿日:2013/6/30

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「抱きしめてください」と言っても
「近づいてください」と言っても
その距離も方法も人それぞれで、できあがる隙間もまたそうであった。

人と人がそこに存在する限り両者の間には隙間が出来る。
距離感が広ければ広いほど、その「隙間」は「空間」となり、
お互いの心情もそれに比例して、遠くなる。

人間と人間の隙間は、関係そのものだ。
満員電車での隙間は、近いけれど近すぎて不快な形。
人見知りと人見知りの隙間は、時間が経つに連れて縮まりますようにと
そんな気持ちをこめた歯がゆい形。
3人家族の隙間の形は、おじいちゃんおばあちゃんが入ることによりまた変わっていく。
隙間の形は、家族それぞれの形をしていた。


「隙間に集中する」

そのために私は、家族写真をシルエットで撮影し、その隙間を写すことにした。
この写真は、窓を背景に撮ったものである。
一番写したいモノの形に集中できるように、外のバルコニーに白い布を垂らした。
いつも停まっているバイクや自動車を隠すためだ。
背景に意味を持ってほしくないのと、写真の構成要素を家族だけにするために
絞りをなるべく解放で撮影する。ピントを考え、顔の位置が前後しない様に気をつけなければならない。
「四隅を満たすクローズアップ」「寄りの家族写真」・・・
全て、以前浦安店で取り組んだ写真課題である。
この写真は、その課題をふたつ合わせたものだ。
毎月主題に取り組んでいくに連れて、知らぬ間に自然とそれらが蓄積されているのが分かった。
写真のバリエーションだけでなく、各主題を合わせて自らの新しいレパートリーにしていきたい。

 

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