フォトジェニックアーカイブPhotogenic Archive
枠を越えて
投稿日:2013/9/30
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【枠を越えて】
写真は、無限の可能性を秘めています。
見るものになんらかのメッセージを残すことが、
写真の存在意義であるのであれば、
写真表現の要素はスタジオ写真の枠をいくらでも飛び越えていける。
その手段を持ち合わせているかいないか、
想像が出来るかどうかで、商品化における原本CDの内部が大きく変化していくと私は感じています。
この写真の大きな要素は光です。
逆光の光に包まれる場所にいる母と子に対して、イメージが膨らみました。
この被写体の座っている場所の後ろには窓が存在し、写真右手には蛍光灯が仕組まれたボックスがあります。
もともとbabyの撮影をしようと撮影を進行していく中で、母から離れることが出来ない子の姿がありました。
このシーンは母が子を世話するワンシーンの中で、子育てをする母の美しさをこの光で演出しようと試みました。
母としての力強さと、落ち着いた子の表情から、
子育てという体力のいる仕事に対しての価値が見て取れるようです。
名古屋店で写真討論をした際、この写真には愛がある。と他スタッフから評価を受けました。
しかし、実際にはこの写真に私はその愛情に関してはイメージがありませんでした。
この光が与えるイメージが、世話をしている母があやすための何かを探しているシーンに、愛を感じたのかもしれません。
この違いに私は驚きました。
自分が感じていなかった枠をこの写真を通じて感じさせたのです。
これは写真がもつエネルギーだと思い知らされたのです。
ライフスタジオにおいては、すべてが計算をされた写真がフォトジェニックに選ばれる傾向があります。
その計算が“枠”であるのであれば、この写真は少し趣が違うのかもしれません。
しかし、写真が持つ無限の可能性の拡散が、この写真にはあるのではないでしょうか。
photo / 江藤優太 code/川原佳子 [lifestudio nagoya]
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