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そのままで

投稿日:2014/1/16

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photo by mio coodinate by erika


“大丈夫。そのままでいいんだよ?”
annaちゃんの様子を見て、そう伝えたかった―。


annaちゃんはこの日、まず着物ではなくドレスを選び、
そしてドレスを着た後、自分のタイツを履きたいと言った。
大人の内心は、恐らくみんな同じだった。

タイツを履きたいと泣いて訴える彼女。
だけど涙を流しながらも、
お気に入りのバッグについて聞くと、
そのバッグを取り出し、少し照れた表情で見せてくれた。

その姿を見て、少しでも困惑してしまった自分を恥じ、
一切のペースを彼女に合わせることに決めた。
好きなものに目をキラキラと輝かせていたから…
そこに生命力と美しさを感じたから。
涙が一層、そのキラキラを印象づけた。


そのままでいいと思った。羨ましいとさえ思った。
自分に素直でいられること、
我を忘れるくらい好きなものがあるということを。


タイツに合わせ、まずはカジュアルからの撮影。
バッグを持ちながら、お菓子を食べながら…。
もしかしたら、ご家族は不安に思ったかもしれない。
このままで大丈夫だろうかと。
だからか、より使命感のようなものに駆られたのかもしれない。
annaちゃんらしさは、そのままで大丈夫ですよと伝えたくて。


徐々に打ち解けられ、その流れからドレスへ…。
着替えたannaちゃんを見て、彼女をとても愛しく感じた。

ママのことが大好きなannaちゃんは、
ママがお揃いの大人用のドレスを合わせると、
真似して一緒に着てくれた。
最初と違うドレスを選んだ理由は、
ママとおんなじドレスを着たかったからだった。

最もannaちゃんらしさを感じた場面ー。
大好きなママが合わせていたドレスを、
自分も着たいとおねだりし、
自分のドレスの上から、重たく大きなドレスを着ていた。
その愛しい姿を見て、シャッターを切らずにはいられなかった。



この写真はママの手が入っているため、
写真としては不完全なのかもしれない。

だけど私は、
ドレスを脱がせようとするママの手、
それを右手で抑えながらも
ポーズをとって無邪気に笑うannaちゃんが一緒に在るからこそ、
その時の記憶を呼び起こすものになり、
また、関係性や“らしさ”を感じることかできるのではないかと思った。


幼稚園の先生から
お姉さん役をしていますよと言われる彼女はきっと、
外での役割から離れ、家族には思う存分甘えたかったのかもしれない。

再会は彼女が3歳になる3月。
着物への抵抗については分からない。
だけどその時も、
私は彼女のペースに任せて彼女らしさを残していきたい。

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