フォトジェニックアーカイブPhotogenic Archive

Re:construction

投稿日:2014/7/8

1307 2

No.99 Yokohama Aoba 
 
HairMake&Coordinaite by Kaori Sasaki
                         Photo by Volvo
 
 
気がつけばこの7月でライフスタジオに入社をして丸3年が経ちました。
工藤さんと「本当に良い写真を撮るための条件」とは何かを話していると、自分の撮影を振り返り
大事にしているものを思い返し初心に帰ります。
 
「どうやったら良い写真が撮れるのか」についていつも話されるのは技術の向上や被写体に深く入る事といった断片的なものが多いように思います。もちろんそれらも条件のひとつではありますがそれらは全てではなく、あくまでも条件のひとつでしかありません。
 
原本を作り上げるにあたって私達が持っていなければいけないものは何なのか、少し自分の鞄を開いて見直してみます。
光だけ鞄に入れてスタジオに出向けばいいわけではありませんし、構図だけがポケットに入っていればいいというだけでもありません。
もちろん人との関係性をうまくやればいいだけでもありませんし、笑わせればいいだけでもありません。
私はこれらの条件に本当によく悩みますし、いつも胸に何かつっかえているような感覚を拭う事が出来ずにいます。
 
よく写真はその時の空間を写し出すと言いますが、その写真の為だけの、たった一回のシャッターを押す瞬間に作られる空間における構成要素は数えきれず存在していて、それはひとつ前のシャッターの瞬間とは違う空間となっていますし、違うべきであると思っています。
だから私達の商品は75カットなのでありライフブックは存在するのだと思います。
 
逆に言えば良い原本というのは75カット全ての構成要素が違うべきであり、全てが違う空間であるべきとも言えます。撮影を進めていくと、イメージが明確な写真と必ずしもそうでは無い写真が存在します。そうでは無い写真の構成要素はいわばイメージがあった時の名残りであり、その写真の為にある構成要素では無い場合が多くあります。
空間というのはその一枚の写真に関与する全ての構成要素の集合であり、それは上述のように光や関係性など何かひとつの要素を極める事で可能となるものではなく、全てをその一枚の写真専用の要素として構築していく事が必要と思います。
 
 
名残りではなく、全てをその一枚の写真専用の要素として構築しながら75枚を撮影すると言う事は、シャッターを押すごとに空間のリセットと再構築を繰り返すと言う事になります。
それには自分の中にイメージを必要とし、写真に直接写る技術的なハードの面から、関係性や声かけ等のソフトの面など全ての構成要素をその一枚専用に再構築し写し出す事で初めてその写真の為だけのその時の空間を切り取る事ができ、その連続が75枚全てに意味を持たせる事につながるのではないかと思っています。

追記:lee社長のある文章に「
写真の構成要素が全体に集約された状態での撮影」こそが必要であると書いてありました。似た解釈かもしれませんが、それをもっと追求していきたいと思います。

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