フォトジェニックアーカイブPhotogenic Archive
影像
投稿日:2013/10/21
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引きとイメージカット
良い「引き」の写真を定義してみるといくつかの項目が当てはまりますが、最も重要なもののひとつに「整理」がなされていることがあげられます。
カメラを構える前に必ず撮影場所を見渡すと思いますが、その際に光、被写体の配置、線の処理、意味付け(副主体)などいくつかの決定をしなければいけません。
この写真の場合、強いバックライトが影を作り光そのものが副主体となっています。
線を見てみると、斜めの線が多いですが、線を整理するということは四角のセンサーで撮影していることから垂直平行であることが理想ですが、この写真の上半分を見ると左に線が流れています。
さらに被写体が左を向いている事から、上半分の重心は左にあると言えます。
反対に副主体である影が右下へ向かって流れている事や、床の木目が右へ流れている事等から下半分の重心は右へ向いています。このふたつを組み合わせると線が斜めである事の違和感がなくなります。
また、真ん中でこの写真を切って上下をわけてみるとだいたいシンメトリーなっていますが、少しだけ影の方が割合が大きく、これもバランスをとっている方法のひとつですが、今度は重心を「濃さ」で計ってみます。
同じモノクロでも上半分の方が重い感じがすると思いますが、これでもし完全なシンメトリーで切り取っていたら上半分が重くなりすぎてアンバランスな写真になっていたかもしれません。
副主体を光(影)と定義するのであれば輝度以外の情報は不要であることからモノクロにすることがベストであり、表情の写らないイメージカットであることからどういう意図のイメージカットであるのかをしっかり伝わるものにしなければいけません。
西日という好条件をあますことなく利用するためにはより考える必要があり、そうしないのであればただのいつもの撮影を大量の光が楽にしてくれているに過ぎません。
カメラマンにとって「全ての写真が予測可能に」なること。
それがフォトジェニックの常であることが理想ではないでしょうか。
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