フォトジェニックアーカイブPhotogenic Archive

写真

投稿日:2011/9/15

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男らしさ。女らしさ。

その言葉に、どのようなイメージを持ちますか?

 

男、と、女、

人としての本質は一緒でも、特徴はやはり違うものだと思います。

 

写真にもそういった、男性的だ、とか、女性的だ、とか

そのように表現されることがよくあります。

理性的に、

頭で計算、具現化し、自分の世界観に引き連れていくような、

男性的な部分。

感情的に、

一喜一憂を共有するかのように優しさのまなざしで見守るような、

女性的な部分。

 

写真を見る時、

だいたい、カメラマンが何を考えたのか、その時の状況はどうだったのかイメージすると同時に、

カメラマンの性別問わず、

男性らしいなぁとか、女性らしいなぁとか考えます。

わたしは、どちらかと言えば、

その被写体に合わせて一緒に感じて掴んでいく、

女性的な写真が多いのですが、

正直なところ、

どちらにも偏りたくないというのが今、1番集中しているところです。

 

女性的に見守る目線の中にも、

男性的に狙っている瞬間がある。

その瞬間のために、より人を観察し、

より技術のネタを増やさないといけないのだと痛感します。

 

この1枚は、女性的でしょうか。男性的でしょうか。

そんなことは言わずに質問をしてみました。

 

「この写真はどうですか?」

そう言うと、返ってきた言葉は、「かわいいね」でした。

それだけか、、、っと残念になりました。

 確かに、シンプルすぎますが。

 

ただ、可愛くて撮った訳ではありません。

 もっと、写真を見てみてほしいと思いました。(ので、ここに書きます。)

 写真を分析することが、写真を知るきっかけになる。

 レンズの条件、自然光の向き、逆光の時の露出、フレーミング。

 

立ち並ぶ木々の中に入っていき、

自分の目に見えた樹の幹のライン。

 

そのラインを生かすために、

 動き回る被写体のためにつけていた200mmの望遠レンズを

24-70mmに差し替えて準備しました。

 

葉が途切れた部分から差し込む光で輝く場所で、

 いつかチャンスがきたらぜんぶまとめて閉じ込めよう、、、と

広角のイメージで企みながらいると、

 

彼はひとり石ころを拾いはじめました。

 

彼のいる場所からだったら、どう人を配置するべきか。

そう思った瞬間に見えた木々の流れの中で

これはもう、確信があった。

 

 

真ん中!

 

 

日の丸構図と呼ばれる、人をど真ん中に置くフレーミングは、

スタジオではそれほど多様しないフレーミングです。

 

この構図は一見すると、ただ人物を撮っただけの物足りなさが残るものになりかねないので、

確信が持てず、人の配置を変えるか、アップにしてしまうか…、

より絵になりそうな安定を探して避けがちになります。

 

 

しかしこの時は確信があった。

これで、いこう。

 

この瞬間までつないでくれたアシスタントにも感謝です。

野外撮影をしながら。

どういう瞬間をきるのか、何をどこまで考えているのか。

自分の撮影を見直すきっかけとなりました。

スタジオという点や線がはっきりした場所での、

インテリアや、雰囲気の中であいまいになりそうな思考を、

だだっぴろいシンプルな自然の中で

もっと理性的に、もっと感情的に、

もっと中立的に、考えながら自分自身を試しました。

 

 この瞬間を、あなただったらどう撮っていましたか?

男性的に?女性的に?

気になるところではありますが、

わたしは、どっちともで撮ったつもりです。

 

 

ひろい集めた石ころを、

宝物のように大切に手のひらにのせた彼を前に。

 

 

「今日の思い出だねー。よかったねー。」

 

と話しかけながら、彼の和んだ顔をカメラ越しに見つめる。

 

彼のことが、大好きだった。

 

 あ、最終的には女目線!(笑)

 

まだまだ日差しが強い秋の、彼の思い出。

 写真を撮るということ。

 

確信と感情が一致した時、

 

彼の写真でもあり、私の写真にもなった。

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