フォトジェニックアーカイブPhotogenic Archive

family portrait

投稿日:2012/9/5

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ポートレートとは?

一般的なイメージとしては、被写体が「人」であり、バストアップで肖像写真というようなイメージが多く持たれるのではないでしょうか?

しかし、とりわけこうだという規定というものは強くなく、ポートレートにおいて重要となるのは被写体の良さをいかに引き出すか、表現するかという部分であると考えます。

その人を見て、こうだ、と感じられるもの。

今回はfamily portraitというイメージで、この家族だけのこれだ、というものを残したいと思っていました。

というのも、このご家族を撮影するのはもう4回目だったということもあり、よく知っているという気持ちと、ではどう撮ろう?という気持ちがあったからです。

ある程度、撮影者に家族写真の構図やバリエーションなどがあり、出会うご家族ごとに毎回人物やお子様の年齢、家族構成が違うのでそのバリエーションの中で組み合わせながら撮影していきますが、同じご家族を撮り続けるからこそ、どう変化をつけるか、前回とは違うものを、と、撮影前から色々と考え、一番最初の撮影は2歳だったおにいちゃんと6ヶ月の小さな赤ちゃんだった女の子が、5歳と3歳となり、

ひとりひとりの気持ちが強くあるだろうという分その気持ちを大切にするということ、このご家族の明るいイメージを表現するということ、そしてその中でも家族という一体感を表現したいと決めました。

お父さんとお母さんにまずはじめにくっついて座ってもらい、お母さんの前にお兄ちゃんを、そしてそのひざに妹ちゃんを配置し、

お父さんとお母さんと同じような形となるよう二組ずつ、男性陣が女性陣を抱きしめるような形の連鎖として撮影しようと最初はイメージしていましたが、

その形を作ろうと試みた結果、大好きなお父さんの背中にひっつきたい妹ちゃん、お父さんとお母さんの距離に嫉妬したようにおにいちゃんがグイグイと割り込むような形となり、うわわ、、、!という動きが生まれました。

その場にいたコーディネーターも、最初に指定した形が崩れたこどもたちの動きを止めようとはせず、こどもたちの気持ちを待ち、家族の形に介入せず一緒に笑ってくれました。

お父さんとお母さんも困った顔など一切せず、これがわたしたち家族だとでも言ってくださっているかのように楽しんでいるように見え、そして同時に身も心も委ね任せてくれているような気持ちも感じ、もちろんわたしも、あぁ、これだな、と思い、いいです、そのままでいいです、と笑いながらシャッターを切ったのでした。

スタジオの幅的にこのご家族全体での姿を全て画面に入れるにはあまりひけずに広角で表現するしかなかったですが、床面でのご家族位置がお母さんの足の動きが出たことによりラインとして一直線にはならなかったのでおもしろみが生まれ、それも効果として受け入れ動きと全体を写すこと、ぴったりとお父さんにひっつく妹ちゃんの表情を残すことを優先し、感覚的にこの画角での撮影をしました。

家族と一緒にどこ行こう?

そんなキャッチコピーがあった車のCMがなぜか浮かんでくるようで、自然とオブラディオブラダが聞こえてくるくらいの、

今だけの、このご家族だけの明るいfamily portraitとなったと感じています。

被写体をみつめ、気持ちを感じ、形にならないと思うような瞬間でさえもカメラを離さずに瞬間を待ち形として残すことでこの1枚が完成しました。

この写真を見ていると、今までのお兄ちゃんのやんちゃっぷり、妹ちゃんの成長、そしてその時々のお父さんとお母さんの姿を、わたし自身も鮮明に思い返させられるのです。

 

 

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